乙種七類型調査隔離　──番、〆

仕置きに事実なんか必要ねえよ。難癖なんか幾らでもでっち上げられんだろ。( 平然と悪事を働くことを口にして )…随分可愛いことを強請るじゃねえか。( 予想外の言葉に瞬きを落とし / するりと掌を解くと相手の要求に従うように頭に手を置き、ゆっくりとしたリズムで梳くように髪を撫で )

…あんまイジメられっと嫌いになっちまうぜ。( 顔を顰めると恨めしげな視線を遣り )好きだろ、こういうの。…おい、誰が離して良いっつったよ。( 小さく笑み零し / 髪に触れる手に心地良さを覚えるものの解かれた手には不満の声を上げ )

それは困るなぁ。( 態とらしく眉を下げ相手の顔を覗き込んで )好きだよ、お前だし。お前じゃなかったら適当にあしらうけど。……はいはい、仰せのままに。( 髪に触れる手はそのままもう片手で相手の掌を掬い取ると幾度か組み替えて指の間を擽り )

…じゃあお前のその考えを改めろよ。( 向けられる表情に既に絆されかけているのを自分でも感じながら視線を背け )ふ、…お前は俺を甘やかすのが上手いな。( その言葉と再度触れ合う指先に笑みを零し / 心地良さに体の力が抜けていくと其方へ体重を傾けて絡んだ指先で相手の手の甲を撫で )

お前に従順で素直であれって？( そろそろ熱が冷めてきた紅茶の半分を飲み干しながら首を傾げて )…よしよし、良い子良い子。( 髪を梳かす手を支え代わりにすると既に此方へ体重を預ける相手を抱え込むように寄り掛からせて / 指先の熱に笑みを零しながら甘さを含んだ睦言と共にポンポンと頭を撫で )

そうなったら可愛いだろうなァ。…もっと飲むか？( 想像を巡らせて呟き落とし / 既に常温になった瓶の中身をティーポットに注ぎながら尋ね )…餓鬼だと思ってんのか。( 相手の甘ったるい声音が心地良く目を細め / 一方で子供をあやすような扱われ方にまんまと気持ちを落ち着けてしまう自分自身が受け入れ難く声色ばかり不満そうな言葉を落とし )

今も十分可愛いもんだろ。飲む。( 想像上であれど相手の考える自身を妬みの対象と捉えたのか少々不満げに零し / 空になったカップを相手の方へと滑らせ )俺の恋人だと思ってるよ。不満か？( 不服げな声音に笑い声を上げて / 宥めるように頬に軽いキスを落とし )

…何怒ってンの。( 再度片手をティーポットの表面に翳し / 笑みを浮かべて空いている手を相手の方へ伸ばすと人差し指の背で鼻筋を撫で )…不満じゃない。( 頬へのキスに軽く目を閉じつつ短く答え / 相手の首筋に唇を添わせると独り言を口にするような調子で告げ )…好きだよ、

お前の考える俺に妬いただけ。( 鼻筋を撫でる手を掴まえると明け透けに心情を吐露し )……、はは。俺もだ。( 告げられた言葉に目を見開き緩慢に意味を咀嚼すると心から嬉しげな表情を浮かべ / 髪に添えていた手でそれを表すようにゆっくりと撫で )

お前の事考えてンのに？( 互いの指先を絡ませながら笑みを噛み殺し )…ジャック、( 声色や髪を撫でる手からその感情が伝わって来るようで綻ぶような笑みを浮かべ / 絡めていた手を離し相手の腰へ緩く腕を回しながら名前を呼び )

理想像に現実が負けんのを危惧してんだ。( 絡んだ指先に軽く力を込め )…紹。( 相手の表情に魅入りながら解かれた手を頬に添え / 相手を真似るように半ば蕩けた調子で名前を口にして )

…ッはは、ンなわけねぇだろ。別に従順なお前が理想ってわけでもねぇし。( 瞬き一つ落とすと堪えきれずに笑み零し / 片手で相手のカップに紅茶を注ぎながら告げ )……、我快死了…、( 名前を呼ばれると胸が痛む程の鮮明な感情に襲われるものの経験の無い感覚を言語化する術も無く束の間口を閉ざし / 僅かに眉を下げると小声で呟き )

…じゃあ何が理想なんだよ。( 緩く頭を傾け / 手遊びに片手を擽りながら相手の手付きを何となく見守り )ん？( 零された言葉の意味は理解出来ずとも相手の表情と反応からある程度は察すれば笑みを漏らして / 小さな声で紡がれたそれの意味を聞こうかと一音で問いかけては微笑を消さずに首を傾げ )

ねぇよそんなの。お前はとっくに俺の理想より可愛くて良い男だ。一々理想なんか考えてンのが馬鹿馬鹿しくなるくらいな。( 擽ったさに笑みを零しながらカップを相手の方へ遣り / 握った手を口元へ寄せ相手の指先へ口付けながら答え )…愛してる。( 首筋から肩口の曲線に沿うように頬を寄せ / 今し方口にした言葉の意味を問われているのは理解しながらも溢れ出る感情のままに伝え )

ふん、( 相手の答えに満足したのか息を吐くと口付けられた指先に視線を落とし / 片手でカップに指を引っ掛けて口を付け ) ……は、( 先程よりも直接的な言葉でそれが口にされれば甘えるような仕草とも相俟って束の間面食らったような表情を浮かべ / 胸中に込み上げる何某かの感情にらしくもなく言葉に詰まらせると解いた片手でじわじわと熱の集まる顔を覆い )

…美味いだろ。一杯目よりも煎を重ねた方が美味くなるんだ。( 目に見えて満足そうな様子は寧ろ微笑ましく小さく笑み零して手を解き / 空にした自らのカップに紅茶を注ぎながら告げ )……、( 相手から何の反応も無ければ顔を上げて其方を見遣り / 顔を覆う相手の手首を徐に掴むと引き剥がそうと力を込め )

あぁ、美味い。お前の腕も知識も一級品だ。( 相手の言う通り佳味と言える味に自然と目元を緩ませて )……やめろ。( 特に抵抗はしないまでも言葉は制止を示しながら明確に上気した頬を隠すよう顔を逸らし )

…褒めすぎだ。俺が特別優れてるわけじゃねぇよ。( 趣味に関して手放しに褒められる事も早々無く仄かな擽ったさを覚えながら答え )…ふ、…照れてンの？( 逸らされてしまった横顔を目を細めて眺め / 胸中に込み上げる愛おしさが声色に現れるのに気が付かないまま問い掛けては薄く染まる頬を人差し指の背で撫で )

俺の舌が信用出来ねえっての？ ( 態と眉を下げると退路を断つよう意地の悪い問い掛けをして )…不意打ちだったからな。( 耳を擽る相手の声音に一段と低い声で肯定すると手を解き頬を撫でる掌を掴まえて / 仕返しのように相手の耳朶に唇を寄せると密やかなトーンで囁いて )……愛してるよ、俺も。

…そうは言ってねぇだろ。ただこんな事で褒められンのは初めてなんだ。( 相手の言動が意図的な物と理解はしていてもあしらうような事はできず眉を下げて笑み )言われ慣れてンだろ、こんな事。( 赤く染った頬を目に焼き付けるように頬を緩めて見詰め / 掴まれる手はそのままに肯定の言葉へ笑み混じりに返し / 耳元で囁かれる言葉へ自然と体中が熱くなり頬に熱を帯びるのは回避しようが無く僅かに眉を下げると無言のまま再度相手の肩口へ顔を埋め )