検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…ありがとな、フィリップ……っ、おぅ。頼んだ
(相手の腕の中に収まっている場合ではないのは分かっているが今はここをどうしても離れたくない。ここには正気を失うほどの渇きも大切な人を傷つけてしまう絶望もない、ただ愛しい人の存在と幸せがあるだけだ。この場を任せることにすれば上機嫌な返事が聞こえてきてこちらも口角をあげる、帽子越しに口付けを受ければさらに口元は緩まるが同時にもっと甘くて暖かいものが欲しくなって物足りなさを感じればせめてもと額を胸板へと押し付けていた。そうしているうちに男達がこちらへと迫ってきて相手が動きやすいよう首に両腕を回してさらに密着した体勢になる、敵からの攻撃は面白いくらい当たらなくて宙に浮かびながら蹴りでノックアウトしていく姿は優雅でさえあった。思わず飛べるのはずるいと言いかけるが反省がないと怒られそうなので黙っておくことにする。宙へ浮かぶ心地に揺られたまま地下から出れば相手は柱を蹴り飛ばし倉庫を半壊状態にして思わず目を見開く。これでここの組織はもう派手に動くことは出来ないだろう、あとでジンさんに連絡しておかなければ。外へと出ると日が登りかけていて思わず抱き着く腕に力が入って表情が強ばる、しかししっかり抱えるように腕の位置が変わるとその頼もしさに再び口元が緩んでさらに腕に力を込めた。そのまま白む夜空を一気に駆け抜けていく、太陽は自分達にとって天敵ではあるが朝の空気は良く澄んでいてそれを飛びながら感じることなんてない。ゆっくりと呼吸すると「こんな風、感じたことねえ…」と思わず呟いて)
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