検索 2022-07-09 20:46:55 |
|
通報 |
…っ!!……え、…フィリップ?……あ、あぁああっ!
(血が、血が、今すぐこの喉を渇きを満たす血が、失った分を癒す甘美の味が必要だ。目の前にある血はドブの匂いしかしないがもう背に腹はかえられない、不快な血への怒りと吸血衝動が綯い交ぜになって体が突き動かされるままにナイフを振り下ろした。手から刃物が肉を引き裂く感触が伝わる、しかし直後芳醇で甘美な香りを嗅ぎ取れば動きを止めた。渇望した美味い血の香りがして飲みもしていないのに酔ったように頭を揺さぶるが直後体を抱き締められて愛しい声が聞こえてくれば間の抜けた声が出た。柔らかな感触とここに居ても良いと思える安心感、何よりもずっと離れたくないと思う優しい匂い、あれだけ体を支配していた本能が抜け落ちて確かめるようにその名前を呼ぶ。傍にある体を掴めば漸く相手がいるのだと気が付いた。しかし同時に今ナイフを突き立てた体が、溢れ出る血が、相手のものであると認識すれば体がぐちゃぐちゃに引き裂かれた気がして悲痛な叫び声をあげる。今自分がナイフを突き立てたのは、傷つけたのは、何よりも大切な恋人だったのだから。こちらを抱き締める体はいつもより力無くこちらからも腕を回すと「フィリップ!!」と叫ぶ、あれだけ血を欲していたのに香り立つ相手の血の誘惑よりも相手への気持ちが遥かに上回っていた。深く突き刺さったナイフは血を絶えず溢れ出させて今も赤が相手の服に広がっていっている、頑丈だと思っていた相手がこれほど弱っているのは見た事かなくて肝が冷えて焦りと自分が相手を傷つけたのだという絶望とで息が出来なかった。加減も分からず自分の服を引きちぎると肌を露出させる、そこには銃弾が貫通した跡があって未だに完治せず血が滲んでいる。相手を強く抱き寄せて傷口へ近づけると「フィリップ!早く飲め!俺のせいで…お前が死んじまう!早くッ!!」となんとか相手を回復させようとして)
| トピック検索 |