検索 2022-07-09 20:46:55 |
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……、…宜しく頼むよ
(苛立ちと感情のままに外出する旨を伝えると相手からはそっけなく冷たい声が返される。勢いよくドアを閉めたせいで大きな音が鳴るがそれだけで気分は晴れずに夜の街に飛び出した。最近ではこうして夜に一人で外に出る機会は少ない、その原因を思えばまた感情が乱れそうになるが小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせた。勢いで出てきたものの相手の依頼人のことや仮面の男達のことはほとんど知らない、相手の探偵業にあまり関わっていないことを痛感させられながら更に闇に紛れる方に進む。まずは情報を集める手を増やそうといつもの合図で寄ってきた蝙蝠とカラスに手のひらを引っ掻いて作った傷から血を与えて一時的な眷属にする、こちらが分かっている情報を伝えて引っかかる物を探すように使役の令を送れば一斉に空に飛び立っていった。それから街中をあてもなく探し回ってみるもめぼしい情報は得られない。夜風に当たっていれば少しずつ頭も冷えてきて相手に酷いことを言ったかもしれないと不安が過ぎる、だが今更戻るにしても上手く話せる気がしない。落ち着かない心境で綺麗な満月の空を見上げているとぐらりと一気に波の様な気持ち悪さと喪失感が襲ってきて咄嗟に柱を支えにする、初めて感じる強烈な不快感に眉を顰めていれば直後使役していた蝙蝠から妙な音の察知報告があがる。偶然にしては出来過ぎたタイミングにいても経っても居られずにまだ街の中でありながら飛び上がりその場所に向かう。その道中、下ですれ違った車から一瞬だけ見知った匂いが香る。それがついさっき濃く嗅いだ血の匂いだと気付けば背筋は冷え切って方向転換してその車の追跡を始めて)
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