検索 2022-07-09 20:46:55 |
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あぁ、風.都.最大の夏祭りだ。ぜってぇお前を満足させてやるぜ。ん?あ、あぁそういや怪我したまんまだったな。これくらいどうってことねぇよ。ちょっと消毒しときゃ治る。
(風.都.タ.ワ.ーを中心に行われる夏祭りはこの街と夏とを存分に満喫できる行事だ。ちゃんと参加するのはかなり久しぶりだが、それでもこの街の行事ならバッチリエスコートできるだろう。来る日を楽しみに思っていると手の怪我を指摘され、すっかり処置するのを忘れていたのを思い出す。割れたガラスが掠っただけなので傷口は綺麗だが赤い筋はまだまだ痛々しい。しばらく手は包帯生活だろう。それよりもそんな日常の会話を交わして、ようやく自分がまだ相手に乗っかったままなことに気がついた。相手をソファに押し倒した挙げ句手を繋いで最後には口づけまで、自分で思い返して一気に羞恥心が襲いきた。涼しい顔で怪我のことを口にしている場合ではない。顔に焦りを出さないようにしつつ相手の上からどいてソファの横へと立った。そもそも頬に口づけた時、相棒は無反応だった。おそらくその意味が分からなかったのだろう。その意味を聞かれても親しい人にする親愛の証、だとかで誤魔化せば良いのだろうが、自分のものだと宣言しているものにするそれは意味が多少、いやだいぶ異なる。心のままに行動した結果純粋無垢な相手に手を出してしまったことに羞恥に加えて自分のズルさを感じて思わず相棒から目をそらした。激昂のあとだったとはいえ、もっと自分をコントロールしなければ。よりハードボイルドであるためにも、そして二人の関係のためにも。救急箱はたしか上だ。「事務所に戻るか」と声をかけると階段をあがろうと歩き出し)
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