検索 2022-07-09 20:46:55 |
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やっぱ食べて、あぶねっ!!壁に書くのは止めろって言ってんだろ!
(期待していたわけではないが呼びかけてみても返事はない、いつもの定位置が如くホワイトボードに向かってこちらに背を向けていれば相変わらずな様子に長いため息が出た。あの夜に連れ帰った相手は出会った時の印象のまま紛うことなき変な奴で、ついでにここで暮らしているうちに知的好奇心の塊であることを知った。問題はその度が過ぎていることで放っておけばこの通り食事さえ取ろうとしない。ボードに向かって何やらブツブツ言っている相手の背後に近づき小言を口にしようとするがその手がボードからはみ出そうとしているのを見た瞬間に声を挙げた。慌ててマーカーを持つ手を掴んで止めると思わず怒鳴ってしまう、先日文字がボードからはみ出した時はどれだけ苦労したか。そのままマーカーを没収すると「今日も食べてねぇじゃねぇか!また倒れんぞこの検索バカ!とりあえず食え!」とまた叫んで皿のサンドイッチを鷲掴むと相手の口にねじ込もうとし)
…なんだ、君か。これが終わったら食べるつもりで…、っ
(相手がすぐ後ろまでやってきても気づく事がなく得た知識を整理しようと手を動かしてホワイトボードをはみ出して壁に書き込もうとする。その瞬間手首に握られ止められると急な仕草に体が引っ張られその異常に漸く意識が外に向く。その原因が相手だと分かれば怒鳴るのとは対照的に静かな目と声で存在を認識する。あの夜に出会った男でその情報は当日に閲覧済みだ。何かと自分を気にしているようだが以前もこうやって書くのを止められた。マーカーを没収されてしまうと不服そうな目を向けその反論を口にしようとするがその前に続けざまに叫ばれて言葉が止まる。活動するためには栄養摂取が必要なのは理解している、それが数時間ずれようとさほど大きな影響は出ないはずでそのことを淡々と伝えようとするが相手はまた別のサンドイッチを掴むとこちらの口元に押し付けてくる。強引な態度に眉をひそめつつ仕方なく口を開くとサンドイッチの端の方を齧る。そのまま咀嚼すると漸く空腹を自覚してはまたもう一口食べてみて)
きっちり腹減ってんじゃねぇか……ほら、食う時はちゃんと座れ
(間一髪で壁に文字を書くのを阻止すると相手は明らかに不服そうな顔をするがこのまま放っておけば手に届く全ての壁が文字で埋めつくされてしまうだろう、そんな光景考えたくもない。これから長い時間事務所を空けるのを考えれば今飯を食わせておくべきだろうとまだ何やら良いだけな口にサンドイッチをねじ込む、相手はやはり不服そうだったが一口、また一口と齧り付くのを見れば思わずため息をついた。食欲よりも知識欲が勝つまではギリギリ理解できるが相手の場合は本当に全てを忘れるのだから厄介だ。ペンを持っていた手にサンドイッチを握らせ立ったままでは行儀が悪いだろうと相手をソファの方へ誘導する、しかしそこにはそこで脱ぎ捨てられた服があってまた小言が出そうになるのを数秒かけて何とか飲み込んだ。脱ぎっぱなしの服を端に寄せてとりあえず相手を座らせるとぐちゃぐちゃのままの服をたたみ始めて「俺は今から依頼のために捜査に出る。事務所の扉は閉めとくが、誰か来ても絶対にガレージから出るんじゃねぇぞ」とこれからの自分の予定を共有し、ついでに釘を刺しておいて)
……、…ああ。…さっきから声の強張りと視線の迷いが多い。緊張状態の反応だね
(半ば強引にサンドイッチをねじ込まれ仕方なく一口齧ると体が空腹なのを思い出してお腹が鳴る。更に一口食べて咀嚼を繰り返していれば相手が持っていたサンドイッチを握らされて促されるままソファーの元に向かう。脱ぎ捨てた服が片付けられてスペースの出来たソファーに座り、仕方なく手元のサンドイッチを大人しく食べていると相手から今からの予定が共有される。この場所から出てはいけないことは初めてこの事務所に来た時から散々言い聞かせられている。あの場所とさほど変わらない暮らしをしながら相手の声掛けに頷いていたがふと何かに気付いて動きを止めるとじっと相手を見つめる。普段との違いを見つけるように観察して淡々と相手の様子を分析するように呟くがそれっきり興味を失くしてまたサンドイッチを食べる行為に戻って)
なんだよ……なッ、…、……うるせぇ!適当な事言ってんじゃねぇよ、ったく…あとで朝飯分も食っとけよ
(帰ってきて相手が空腹で倒れていた時はなかなか肝を冷やしたもので二度とあんな経験はしたくない、人が死ぬところを見るなんて、懲り懲りなのだ。散らかったままだった服をたたみ終えた所で相手がこちらを見つめていることに気がつく、怪訝そうな顔をして視線を返していれば図星をつかれてしまって固まってしまった。正確には相手の言うことに覚えがありすぎて反論できなかった。まだ依頼人の話を聞いただけだがその話には異形の存在がチラついている、今一番因縁の深いものが関わっている可能性があると言うことで、それは即ち『また解決出来ない依頼』かもしれないと言うことだ。痛いところを突かれて上手く言い返せないでいるとじわりと弱気な心が顔を出す、またメモリの力に飲まれた人と対峙しなければならないかもしれないと、共に変身する相手に打ち明けてしまいそうになる。しかし視線を向けた相手は既にこちらを見ていなくて瞬間言葉は引っ込むと全てを振り払うように叫んでいた。きっと解決の糸口があるはずだ、その為に今は動くしかない。相手に食事を怠らないように再び釘を刺しながらドンッと音を立て乱暴に朝食分の皿を目の前に置くと「行ってくる」と声をかけてガレージを出て捜査へと出かけていき)
そうやって声を荒げるのも要素の一つだ。…ああ。
(相手をじっと見つめると怪訝な表情を向けられるがそれも気にせず緊張状態であることを指摘すればわかりやすく相手は固まる。反応を見る限り本人も自覚があるようで予測が正解だったと分かれば興味もなくなってサンドイッチを食べることに意識を戻す。すると大げさに声をあげて叫んでいて更に露骨な反応を淡々と指摘していた。相手は探偵としてこの街でヒトダスケをしているらしいがそれについて深く聞いたことも実際に何をしているのかも知らない。おおかた鳴.海.荘.吉の真似でもしているのだろう。そうしていると相手は朝食分だと思われる皿を乱暴に目の前に置いてからガレージを去っていく。まったく理論的ではない相手の行動を読むのは難しい、ちらりとそちらを向いて短く返事だけすれば食事に意識を戻した。気づかないだけで空腹だったようでサンドイッチと朝食の分まで食べてしまうとまたホワイトボードに向かって検索結果を書き始めて)
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