シスター 2022-06-17 19:27:15 |
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(何処からとも無く再び閉めきられた室内に風が舞うという不思議な現象に対し、地面を見詰めながら考えていた。両手に触れられると驚き僅かだが肩がピクリ、と動き持ち上げられて強制的に顔を上げさせられる。距離が近くなり、目の前に現れた人物は何処か人間離れしていて神秘的だった。神様が擬人化したらこの様なお姿なのだろうか。シスター如きの分際で神様を救う等烏滸がましいが、目の前にいる人物は神様ではなくて救いを求める者。シスターとしてどうするかは既に決まっている。身分や素性は関係ない。救いを求める者は誰であろうと助けなければ。一応警戒はしておき、慈悲深い優しい笑顔で誤魔化そうと)
勿論で御座います。しかし、この教会ではきっと貴方様は手狭でしょう。私と一緒に安寧の地を見つけませんか?
(神父様に救われてからもう何十年の月日が流れ、年齢からもう十分シスターとしての役目を果たしただろう。神に祈りを捧げるのは変わらないが、今度はシスターとして誰かを救うという気持ちを密かに抱えていた。安寧の地を見つけるというのは口実で、教会から離れてひとりで生きてみたいと。目の前に救いを求める人物が現れて絶好のチャンスだ。どんな回答が得られるか分からず心音は相変わらず煩く、これはまるで最後の審判を待つ者の気分だ)
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