シスター 2022-06-17 19:27:15 |
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(神に祈りを捧げるこの瞬間が一番生きていると実感する。どうやって自分が産まれてきたのかもう知らない歳ではない。生きとし生けるものに祈りを捧げたりとそんな壮大さは無いが、今日も一日生きられた感謝を込めて神に祈りを捧げる。瞼を閉じている間ふと、締め切っている室内に風が吹いたような気がしてゆっくり瞼を開ける。腕を解いてから何故だか理由は分からないが胸騒ぎを覚えて。教会にいるのは自分ひとりだけの筈なのだが正体不明の気配に対して冷や汗が額に浮かび、何処からとも無く聞こえてきた声にドクンドクン、胸が早鐘を打つ。動揺から視線を揺らしつつもゆっくりとした動作にて顔を上げる。教会に来た時には祭壇に人などいなかった。その祭壇の上に腰を下ろして足を組む人物を月光が妖しく照らす。表情迄は分からないが目の前にいる人物は白のサテン系生地で出来たロングローブを纏い、白銀の長い髪は月光に照らされて異様な美しさを放っていた。その者から教会の者かと問われただけなのだがその声と口調に不思議な感覚を覚える。不思議と反射的に体が動いてしまい、上げていた顔は再び地面と対面する形となって。咥内は緊張から乾いて唾液が分泌されず、取り敢えず何か喋らなければ。何とか声を発すると質問の答えに肯定示し)
私はこの教会のシスターで御座います。
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