シスター 2022-06-17 19:27:15 |
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( 過ちだとか業だとか正直な所興味などない。天界も下界も別れていたって生きとし生けるものを慈しみ、愛を注ぐ事にどんな疑問があろうか。ひとりの女を愛ししかしそれが叶わぬ夢だと気が付いた時には俗に言う闇に落ちていたというものだ。だがそれを過ちだとは思っていない、目から色が抜け落ちる最期の時まで微笑んでいたのだ間違いなどない。それでもそれは罪だと判断を受け、自由に飛び回る為の翼をもがれ堕天使としての落胤を捺され天界より堕とされてしばらく経つ。長い時を得て下界へ落ちてきた。ふと目が醒めた時、目に映ったのは白い月しかしその視界は狭くどうやら何かの建物に落ちたらしく天井を突き破っていた様だったが天使の体重はいくばかりもなく軽い。重力が加わって重さが追加されたのだろうとまだ回りきらない思考で考える。身体が痛くて鉛のようにずしりと重い、ぼんやりと狭い隙間から見える夜空を見上げているとふと音が聞こえてくる。そちらの方へ視線を向けるが何かが邪魔をして見えず、確認は出来ないが足音と息遣いからして人間だとは理解できて。次第にクリアになっていく思考と視界でステンドグラスや長椅子があるのを見る限り教会だと悟り、神父やシスターだろうと考えては何ともある意味では縁のある場所に落ちたものだなと内心思い。背中の痛みに耐えながらゆっくり起き上がれば椅子の間にちょうどおさまっていたらしく、視線の先に捉えたのは祭壇の前で手を組む女性の姿。修道服を着ていない為シスターか一般人か判断が悩まれるが音もなくふわりと風が舞えば、事もあろうか祭壇の上に腰を下ろして足を組み眼下に屈む相手へ視線を下ろして )
──お前はこの教会の者ですか?
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