狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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(見知らぬ様々な人が終わった、宴会だと口々に言いながら、喜色満面と言った様子でお披露目の間を後にしていく姿を見ていれば、先程妬みや羨ましいと言った感情を乗せた眼差しをこちらに向け、言葉にせずとも目で『我が家に娘がいればあの場は娘のものだったのに』とありありと語っていたのに、婚姻の儀と言って良いのか盃の酌み交わしが終われば皆手のひらを返したようにめでたいやらこれからも繁栄をやら言っており、自分勝手な人達だと、引き取られた理由と自分に対しての物言い、態度やらで巫家の人達には正直あまり良い印象は抱いておらず、そんなモヤモヤしたものを抱えていればいつの間にかこの間には自分とお狐様の2人だけになり、不意に頭に被せられていた被り物が取られ、纏められていた烏の濡れ羽色と称しても良いくらいには黒く無造作に伸ばされてはいるが艶のある髪が背中を覆い、いきなりどうしたのかと困惑が隠しきれずにいるが、これで夫婦だと言われれ)
――私の無作法でご不快な思いもさせる事があるでしょうが、精一杯妻を努めさせていただきます。
これから先末永く、よろしくお願い致します。
(夫婦、正直な感想を言うなら自分には縁がなかった言葉だしどんなことをすれば夫婦となるのか、この方に相応しい妻となれるのか分からないし不安は大いにある。だがそれでもと相手の膝から降りれば堅苦しくも再度恭しくそして深い礼を見せては、頭を上げた時に衣服を着崩して体を楽な体制に取った相手が目に入り、人外の顔面にそのどこか気だるさな様子に男の色気というものを初めて知れば、どこか見てはいけないものを見たようなそんな感覚に頬が熱く感じる、それを気取られないように平静を装うとしているが頬の熱さは引かず、そうしていればつらつらと相手から今後の暮らし方と呼び名を教えて貰え)
……でしたら、御言様とお呼びさせて頂きます。
何もない事が1番とは思いますが、私の力ではどうにもならない事が出来ましたらお呼び致します。
(呼び名を聞けば、巫家から御言と呼んでいる事は聞いていた、聞いていたが本人の口からの要望された呼び名で呼んだ方が良いだろうと判断していたから今まで名前をわざと呼ばずにいては、何かあれば頼れの一言はとても嬉しいし助かるだろうが、都心に出掛けるにも巫家の許可がいりそうだし外を見ればどうしてもこの暮らしと他人の暮らしを比べてしまう、そんな事をしても心労がたたるだけでいい事は無いと自己判断している為言葉ではこう言いつつも外に出たり、何かあってもよっぽどが無い限り頼る気はあまり無く)
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