この胸を満たすのは。 〆

ふーん、前々から思ってたけど実は良いとこのお嬢さんだったりする？
（「門限」という聞き馴染みのあるワードに密かに反応示すも曖昧な相槌に切りかえ。頭の良さから礼儀正しさ、凛とした姿から何となく似た境遇であることを感じていたものの改めて問いかけてみて。一瞬表情が緩んだことには見逃さずともそれには深く触れずにその店の方向に案内しはじめ。彼女の口から元カノという言葉が出るとは思わずいつもならさらっと肯定する問いも彼女の前では若干歯切れ悪くなり。一方で自分のそういう面も気になるのかと校則のような固い言い回しで問いかけ）
おっけー。まあね、不純異性交遊は駄目だった？
　
　

両親のおかげで裕福な暮らしができているだけだから、お嬢様かどうかはわからないけど。一般的に見たらきっとお嬢様と判断されてしまうかもしれないわね。
（両親の仕事、住まい、使用人といった観点から推測し、ストレートに言わないが【お嬢様】というのは揺るがない事実で。元カノ発言が関係しているのか急な歯切れの悪さに気付くも指摘することはせず、受け流しながら不純異性交友に関して真面目に意見述べ、恋愛に関しては興味あると匂わせ）
例え不純な動機だったとしても、お互いに清い交際だったら私は駄目と言わないわ。寧ろ私は恋愛をしている人の背中を押して、応援してあげたくなる側だし。

なるほど、道理で礼儀正しい訳だ。じゃあ今日は早く返してやらないとな
（予想通りお嬢様と呼ばれる立場だと本人からも認められるとこれまでの態度も納得がいく。似た様な環境だがグレることなく真っ直ぐ育っているのは彼女の性格故だろうとも予想もついて「俺とは逆だな」と一人呟き。真面目な彼女が門限を守るためにも短い間だけの遊びだと告げて。てっきり恋愛には興味無いと言うと思ったのか素直な感想告げ、何処か遠巻きな回答に彼女自身の恋愛感聞きたくなれば興味ありげに目を光らせては顔覗き込んで問い）
意外。じゃあ東條ちゃん自身は今好きな人とかいんの？

たまには門限を破るのもいいかもしれないわ。優等生は高校で卒業というアピールになるし。
（異性とこうして放課後に二人きりで出掛けるのは初めてで、少しだけ期待しているのか冗談言うほどに。彼は校則違反したり問題児だが、成績優秀で絵の才能もある。所作や何気ない仕草から育ちの良さを感じられて似たもの同士なのではないかと勝手に思い込んでしまい。普通に会話していたので油断していたのもあり、顔を覗き込まれるとその距離の近さに一瞬だけ狼狽える。だが直ぐ正常に戻り内緒と言って誤魔化しながら強気な態度を取り）
……それは内緒。いるって言ったら東雲くんは気にしてくれるの？なんてね。東雲くんは恋多き男の子だから忙しそうだわ。

風紀委員長もたまには悪い子なんだ。ま、怒られ無い程度にね
（冗談とは分かりつつも普段の規則に厳しい彼女からは珍しい発言にくすくすと笑って2人の内緒話をするように囁いて。なんとなくの鎌掛けのつもりが一瞬見えた狼狽えに想い人の気配チラつき。思わずじーとみつめつつ彼女に好きな人がいるというのは興味がある一方で何だか面白くない。もやもやとした気持ち抱えつつ自らの恋愛経験語っていれば目的のオシャレなカフェが見えてきて。前まで近づけば可愛らしい外装に飾られ、中には女性客ばかりにアウェー感覚えつつもお気に召すか反応伺い）
…その反応は何か居そうだなあ。恋多きなんていっても「なんかイメージと違った」って直ぐ振られるからノーカウントでしょ。…とか話してたら見えてき
た

　

真面目な優等生だって、髪を染めていつもと違うメイクをして別人に生まれ変わってみたいと思うわよ？
（態とらしく心外だわといった表情で肩を竦めて見せ。初めて家族にも言ったことのない本音を言えたのは気になっている彼だからか。じっとみつめてくる視線に気付いているが、恥ずかしさを堪えて気付かぬフリを貫き通し。彼の発言により御付き合いのイメージは変わりつつあり、恋愛ってそんな軽いものなのだろうか。何て考えそうこうしている間に目的地へ到着し、外観からお店を気に入ったようだ。しかし店内を軽く覗いただけでも殆どが女性客だと見て解り、果たして彼は一緒に入店してくれるだろうかと不安になり。何を考えてその答えにたどり着いたのか。無自覚にさり気なく【カップル】発言で納得してもらおうと）
私はこのお店気に入ったけど、殆どが女性客だから東雲くんは入りにくい……そうだわ！私たちはカップルという設定だったら違和感なさそう。良い考えだと思わない？

なら、今度一緒に悪い事してみる？
（これまた意外とも思うが似た様な境遇ならそう思う気持ちもよく分かる。誑かすなんて言葉が頭に浮かんだがしてみたいと呟く彼女の背中を押すように誘いをかけてみて。いつもならこの顔面にデレデレする女の子ばかりなのに簡単には靡かない姿にますます興味惹かれつつも大人しく一旦話題から引き。別に女性客ばかりでも彼女が望むなら普通に入っても構わないのだが、ふと飛び出たのはカップルを演じるという案で珍しく目を僅かに見開いて驚き。だが彼女の反応的に本当に良いアイデアだと思って出したであろう事に面白さの方が優れば思わず笑い声漏れ。早速とばかりに彼女の肩に手を置き軽く自分の方に寄せれば恋人としての距離になり。再び手を取って優しく握れば店内に入り）
ふふ、なにそれ。いいよ。じゃあ東條ちゃん、彼女として宜しくね？

良いわねそれ。悪い事するなら1人より2人の方が心強いわ。
（似た様な境遇の彼はどうして【悪い事】をするようになってしまったのだろうか。好奇心から悪い事をしたら彼について何か知れると思い自然と頷き、口許が綻ぶ。肩に触れられ近付くその距離は正に恋人同士で不自然さはなく。再び手を繋がれるといよいよ引くに引けなくなり、此処は腹を括るしか無さそうだ。恋人同士なら名前呼びが当たり前だろうが、異性の名前を呼ぶのが初めての彼女は自然に名前を呼べるか不安に。負けず嫌いによりここはもう意地でも名前で呼ぶと意気込んだなら、照れているのを悟られぬように平静を装うも詰めが甘いのか呼び方に襤褸が出てしまい）
こちらこそ彼氏としてよろしくね。悠…くん。
カップルなら名前で呼ばないと怪しまれるでしょう？

学校の奴らや先生が聞いたら腰抜かしそうだな、それ。
（誰もが憧れる風紀委員長様が言う台詞とは思えずツッコミを入れるも自分と同じことをしてくれるのは素直に嬉しくつい口元緩み肯定して。手を繋いだまま店員に奥の2人席へと案内されると向かい合う形で座る。女性客からの様々な視線を浴びつつもメニューを彼女の前に開いてやり。恋人として拙い名前呼びされるとどきっと鼓動高鳴るも動揺悟られぬよう気にしないフリをして。小さく息を吐けばとことん付き合ってやると決意し直すとこちらも名前呼べばメニュー見せながら選んで貰い）
っ、確かにそうだな。…じゃあ、莉香ちゃんはどれ食べたい？

でしょう？伊達に優等生していないから違反しても1回くらいなら許されそうだわ。
（客の視線が気になりつつも席まで案内されると向かい合う形で座り、想像したのか楽しそうに笑い合いながら。メニューを広げられた後、視線をそちらへ向けて選んでいると、気になる彼からの名前呼びは慣れていないのもあってやはり心臓に悪い。ほんのり頬を朱色に染めながら食べたいパンケーキが決まると指で小さく示し）
っ、私はそうね……苺と生クリームのこのパンケーキが食べたいわ。悠くんは決まった？

反応想像したらめっちゃ面白そう。やるなら髪染めて化粧バッチリして可愛い服着ちゃおうよ
（自ら優等生と誇っても許せるほど出来た彼女の語る野望はなんとも愉快で周りの反応が気になる案件だ。それでも冗談だと思ってこちらからも乗り気になるような言葉告げ。お互い気恥しい想いをしてるのか彼女のほんのり頬が染まっているのは気の所為じゃないかもしれない。指さしたパンケーキを確認すれば自分は違うテイストの物を選び、店員を呼んでは2人分の注文をニコッとした笑みと共に告げて）
これね、じゃあ俺はバナナチョコの奴にしよっかな。…すみません、これとこれお願いします。

髪染めるなら悠くんと同じ金色がいいわ。フルメイクにも憧れているけど技術がないし、可愛い服も持っていないからどうしよう……悠くん助けて。
（軽い冗談にもノリノリで反応してくれて嬉しくなり、その話題は続行されて。厳格な父親の影響で服は清楚系でお淑やかに。化粧もナチュラルでメイクの配信している人のような技術力はなく。彼女になりきって小首傾げたりと可愛らしく助けてとお願いしてみて。注文が決まると運ばれてくる間、何を話そうかそわそわした雰囲気で彼女だったら彼氏とどんな会話をするのか想像しながらちらり、目の前に座る彼の顔を見遣り）
パンケーキ楽しみね。えっと…悠くんに質問があるのだけど、良いかしら？

髪色お揃いにしてくれるんだ？ っ、姉ちゃんの服とかメイク道具だったら借りてくる事出来るからその時は俺が変身させてあげるって
（派手なこの髪色と同じが良いと言われるのは嬉しいと共にどういう意図なのか気になり鎌かけてみて。可愛らしく小首傾げて名前呼ばれてお願いされると胸が強く鼓動を打ち一旦視線反らして落ち着こうとし。姉の名を出しながら服とコスメの提供提案しつつ興味本位に自分がやること申し出て。彼女の言葉に頷きパンケーキを待っていると恐る恐るといった様子で申し出されると彼女の方に視線向け伺い）
俺も久しぶりに食べるかも。…ん、なに？

金髪なら悠くんと同じだし、憧れてたからかな？お姉さんがいたからそんなお洒落なのか。変身させられるってドキドキするわ。その時はこの眼鏡も外すことになるのかしら？
（不自然に視線が逸らされると一瞬だけ不思議に思うも気にすることはなく、変身しという言葉に反応示して。質問という程ではないがこの機会に彼について気になる疑問を解決しようと試みて）
えっとね。悠くんは絵の才能あるでしょう？今は何か描いているのかとか、人物画とかどんな絵が得意なのか気になって。

莉香ちゃんの金髪とか全く想像つかないけど。女の子の変わりようは魔法って言った方が近いかな。そうだね、…莉香ちゃんは素材はめちゃくちゃ可愛いから磨けば光る予感
（今のちゃんとした格好の方が印象強くて自分と同じの金髪の姿中々想像つかず。違う姿に興味惹かれている様子に改めて彼女の顔まじまじと観察して。よく見ればパーツの位置とか肌のキメとか整っていて眼鏡も含め少し手を加えれば見違えそうだと真剣な表情で呟き。自分の描いてる絵について問われるとあまりコレと決まったジャンルがない身としてははっきりしない答えになってしまい。それでも好きな絵についてはいつもよりイキイキとした様子で語り）
んー、絵はピピッと来た物書いてるからあんまりそこの辺は決まってないかな、どちらかというと人物画の方が描くこと多いとは思うけど。俺が良いと思ったものを描きたいなとは思ってる

　

悠くんが女の子からモテる理由が分かったかもしれないわ。そうやって甘い言葉で惑わして女の子を落としているのかしら？
（眼鏡越しから真剣な表情と目が合うと見慣れない顔にドキッと胸が高まって緊張してしまい。可愛いと初めて言われ完全にお世辞だと思い込み、胸の高まりを誤魔化すように意地悪な笑みで対応し。人物画を描いていると知るなりやはり一度は描いてもらいたいという願望が膨らみ、話題は進路について少し触れて）
人物画か。卒業するまでに機会があれば私を描いてもらいたいな。…ちょっと本気で。悠くんはやっぱり進路は美大目指すの？

落としてるつもりはないけど、少なくとも莉香ちゃんが可愛いのは間違いないよ。嘘ついても仕方ないし
（殆ど無自覚なのか女の子を落としているという言葉に違和感覚え、いま一度彼女が可愛いと繰り返し伝えて。あまり好意や人への興味関心を口にする機会がなく自分で自分に驚いている節もあり。人物画について触れられると何度か描いてみたいとは思ったことがあるがどうせなら一番輝いている姿を絵画に閉じ込めたくて挑発的な言い方で笑ってみせ、進路に着いて聞かれると露骨に視線反らしては歯切れ悪く答えつつも親の希望とか期待されていること諸々含めて行くことになるだろうそこそこ近い名門難関私立大学の名前か口にして）
なら、俺が描きたくなるような場面見せてよ。あー…、俺は行ってみたいとは思う、けど多分親の言う大学に行くと思う。

あ、ありがとう。悠くんから言われるとやっぱり照れるわね。可愛い……か。悠くんはどんな女性が好みなの？
（思春期まっしぐらで気になる男の子から可愛いという褒め言葉は、初心な彼女だったら簡単に自惚れてしまう。気持ちが一方通行なのを理解しているからこそ【可愛い】に深い意味なんてないと虚しくもなり、可愛いという呪いで苦しめられて。偏り誤った情報により描きたくなるような場面と言われ「描きたくなるような場面ってその……女性の水着姿とか男の子は好きよね？」思春期の男の子なら水着姿の女の子を見たくなるだろうという勝手な理由から結論に至ると頬を赤くさせながら正直に話してみて。彼ならてっきり迷わず美大を目指すと思っていたので、歯切れの悪さからやはり彼も両親に期待されているのだろうか。大切な進路だからこそ両親に反抗してまで意志を貫いて欲しいと願ってしまい）
悠くんの家庭の事情はわからないし、他人の家庭に口を挟むなと言われてしまうかもしれないけど、親の言いなりで大切な進路を決めてしまっていいの？ 美大を目指しているならそのまま頑張ってほしい。その方が悠くんらしいわ。

どんな女性…、本当の俺を分かってくれる人、なんて言ったら痛いかな。でも外見とか家柄関係なく好きになってくれる人が良いと思う
（照れている彼女も可愛いとぼんやり観察していればタイプについて聞かれ、あまり考えたこと無かったその議題に悩み始め。そして浮かんだのは本質を見てくれる人という答えだった。ここまで自分のことを話す機会はあまりなく少し照れ臭そうにしながら言葉紡ぎ。「それは偏見が過ぎるって。例えば壇上で風紀委員長として言葉を述べる時とか1番の笑顔の時とかだよ。……まあ、莉香ちゃんの水着は見てみたいけどさ」と訂正しつつも最後はニヤリ笑ってみせ。彼女の真っ直ぐな言葉は媚びとかお世辞とかじゃなくてちゃんと自分のことを考えてくれている故の言葉で、今まで勿体無いだの無意味としか言われなかった進路を初めて肯定してくれた言葉に目見開き小さく呟き。そして何度か反芻するとすとんと腑に落ちたような感じがして一度目を伏せてから彼女見つめ他にみせたことないような無邪気な笑み浮かべて礼伝え）
、…そんなこと他人に言われるとは思わなかった。俺らしい…か、うん。ありがと、莉香ちゃん。そう言ってくれると凄く嬉しい

外見とか家柄関係なく本当の自分を分かってくれる人は理想的かも。でも現実はそういう人って中々いないのよね…。
（観察されるような視線に堪えかねているとタイミングよくパンケーキが運ばれてくる。視線はそちらに向けつつ、彼の理想に何度も頷くと呟くように話して。絵に関してやはり偏見だったかと恥ずかしそうに笑っていると発言から自分をよく見てくれているのだなと何気なく思ってしまい「悠くんって私のことよく見てくれていたのね。雰囲気は何気ない一コマの感じかしら？笑顔だったり自然な姿で」絵を描かれている時の想像を膨らませ、水着に関しては恥ずかしすぎて敢えて触れずに。実際に絵を描いている姿を見たことがないが、絵に関して話す姿は生き生きとして輝いて見えたので御礼されると首を軽く横に振り、進路に関して彼女も両親としっかり話し合わなければと真剣に考え）
絵のことについて話している時の悠くんはとても生き生きとしているから、絵が大好きなんだって伝わってきて。それを手放してしまったら勿体ないし、家の為に諦めてしまったら本人が一番辛いと思うわ。何よりも後悔だけはして欲しくない。