匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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わ、わかってて言ってるでしょう!意地悪……!!
( ──う、今日もカッコイイ…。浴場からそっと伺ったギデオンが、寝台の上で真剣な眼差しを書類に向ける横顔に胸がキュンと鳴る。そこへ朝の準備に声をかけるなんて新婚さんみたい──と浮ついた余計なことを考えるものだから、声が上ずったりするのだ。ギデオンのスマートな返答に無意識に助けられながら、咳払いをして自身を戒めるように腹に力を込めたにも関わらず、取ってつけたような平静の仮面は、揶揄われてしまえば直ぐに剥がれてしまう。役得なんて心にもないことを、と昨晩全くつれなかった相手に怒りさえ覚えるが、今回ばかりはあまりの自業自得ぶりに、真っ赤になって縮こまるしか無かった。 )
( そんな朝の一幕を乗り越えて。葡萄と共に女主人が必死に人数分用意してくれた朝餉に舌鼓を打てば、調査を手伝いたいという2人の申し出に、プロ意識の高い船員たちは最初こそ渋ったものの、最後はビビらの熱意に負け快諾してくれた。否、2人が冒険者と知ってもなお「でもお客様に手伝って貰うわけにゃぁ…」と渋る船員を、面倒になったビビがハニートラップで沈めたとも言う。昨晩寝る直前、珍しく早く帰りたいという趣旨の言葉を漏らした相棒の望みを叶えたかっただけなのだが、どうしてこれが本命のギデオンにできないのかは、本人のビビが一番知りたい。ともあれ、屈強な船員達と共に水かさの減った川を遡り、2、3時間も歩いた頃だろうか、どうしても先頭は譲らなかった船員達にどよめきが走って。ギデオンの方を一瞬見やり、大柄な船員達と鬱蒼と茂った木々の間を縫って川辺に顔を出せば、その巨大な建造物──荒く加工された人の丈もありそうな流木が幾つも積み上がり、その隙間に詰め込まれた泥と藁の混ぜ物が、作成主の知能の高さを知らしめているそれを見上げれば、既に真上に近くなった太陽が目に入る程。こんなものが水を堰き止めていたのだから、水量が減るのは当たり前だ。これほど巨大では無かったものの、見覚えのあるそれに確認するように相棒の名を呼んだのは、彼が用意してくれた書類で出発の直前に見たそれに、目の前の建造物がよく似ていたからで。 )
ギデオンさん、これってアーヴァンクの……
( / お世話になっております。ダブルベッド事件ありがとうございました。ギデオン様とのやり取りが非常に楽しく、思ったより長編となってしまいました。甘さやビビの性格など、今回少々天然っぽい言動が気になったので、少し引き締めていこうかと考えておりますが、他にも気になる点があれば教えていただけると幸いです。
展開については折角素敵なご提案を頂いたので、程よくダイジェストしつつ、アーヴァンク討伐を楽しめればと考えておりますが、前譚が長くなりましたので背後様が早く進めたいということであれば、後日譚という形でまとめさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。 )
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