匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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(気の抜けた様子で洗面所に消えていく背を見送れば、乱れた前髪を掻き上げながら小さく安堵のため息を漏らす。次いで、薄い無精髭の生えた顎を撫でながら思考の切り替えに努め。彼女の身支度を待つ間、猪毛の歯ブラシや髭剃りのほか、念のため戦士服や装備の類も引っ張り出すことにして。)
……そうしてくれたら助かる。
(やがて、眠気を完全に振るい落としたらしいヴィヴィアンがおずおずと顔を出したころには、差し込む朝陽に白く眩くなる寝台の上、魔物の資料に目を通している最中。存外出てくるのが早かったな、と、紙面から顔を上げたことで、相手のぎこちない様子に気づく。格好こそいつものそれに戻ってはいるが、どこか気まずそう、というよりも気恥ずかしそうな面持ちだ。……昨夜の自分が如何に大胆な乙女だったか、今朝になって自覚が追いつき始めたのだろう。あんなに積極的だったくせに、妙なところでまったくの初心なのか。いじらしいギャップに思わず苦笑を漏らつつ、シャツの件を承諾すると、手荷物を持ち自分も洗面所へ。正直なところ、洗おうが洗うまいがこちらは大して気に留めないが、若い女性であるあちらには気持ちの問題というものがあろう、それを汲めぬほど朴念仁でもない。「別に急ぎじゃない、好きな時に返してくれ」と言いながら彼女の横を通り過ぎようとしたところで、不意にほんの少しだけ声を落とし。一言二言、耳打ちというほどの距離ではないが、ささやかな意趣返しを付け加えることにした。──ちらとだけ向けた横目には、笑みの気配こそないものの。昨夜や普段の過剰な防衛ぶりはどこへやら、昨夜の向こう見ずを揶揄う、意地悪な色がかすかに乗って。)
幸い、ぐっすり眠れたよ。……役得な思いをしたからな。
(/たびたびのご相談失礼いたします。ダブルベッド事件の一夜が終わりましたが、この後の展開についてご希望等ありますでしょうか? この後の討伐をひとつの事件として丁寧に追うのでも、飛ばし飛ばしで何か美味しいところだけ拾っていくのでも、或いは終わりに向けてまとめていき、後日談的にさくっと描写するにとどめて次の話に移るのでも、主様の好みの方向にさせていただければと思います。)
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