匿名さん 2022-05-05 14:12:04 |
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……尾行に気づけなかったなんて、やっぱり、鈍くなったのかな。
( 謝る相手に乾いたように笑うと、首を横に振りながら上記を述べた。そして、部屋の奥へと歩みを進めれば、無造作に床に投げられていたリモコンを踏んでしまったのか、薄明かりが部屋の中を映し出す。
束ねられた髪を解き、着ていたトレーナーを徐に脱いでしまえば、色白でいて醜い肌が灯りに照らされる。左腕は上腕にまで切り傷が無数にひしめき合い、鍛えられた体には無数の傷と、見るに堪えない痕跡がある。
「 いつもなら、その場で終わらせるんだけど 」と呟けば、ポケットから折り畳み式の刃物を取り出し、何の躊躇もなく左腕に新たな傷を描いた。仕事をする度に増えていく傷、これは、標的となった相手への僅かな手向けと、自分自信が痛みを忘れず、己の異常さを思い出す為の手段だ。
滲み出る紅は諸共せず、衣類の散らばった椅子へ腰掛けると、その傷口に指でなぞる様に触れた。 )
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