Devil 2021-11-21 21:57:27 |
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(相手の声は普段からは想像できないほど機嫌がよくなさそうなもので、静かにしてくれと言われると驚いたようにぱちくりと目をまばたかせた。
いつもの穏やかな笑顔やのんびりとした雰囲気を持ち合わせていない天使を見るのはずいぶん久しぶりのことなのだ。
いつも寝起きの悪い自分を起こしている相手ならこの状況にも多少は慣れているかもしれないのだが、自分にとってはこんな状況は初めてのこと。
体調と虫の居所とどちらもよくなさそうだということくらいしか分からなかったし、自分が来たことを歓迎しているわけでもなさそうだったが、相手の言葉を聞いていて納得した様子で頷いた。)
___ああ、噂に聞くアレか。"風邪"をひいたんだな。
…それって天使もかかるもんだったか?
俺は大丈夫だ。悪魔だからな、風邪なんて移らない。
このままじゃ辛いだろ。ちょっと待ってろ。
(人間がかかる病気があるというのは知ってるが、自分たちのような存在はかからないと思っていた。
天使の地上の体に何らかの不備があったか、人間界に馴染みすぎたかなんかで不運にも病気になってしまったのだろう。
自分はかからないと言いながら、苦しそうな相手を看病するべく上着を脱いでソファーに放る。
帰るつもりも微塵もなさそうな返事をしながらキッチンの方へと歩いて行くのだった。)
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