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No.4
by 名無しさん 2021-08-28 22:56:37
おばあさんが虚ろな目で川を見ていると、上流から大きな桃が流れてきた。
よく見るとその桃の、いや"それ"の周りの水は黒く汚れて濁っている。
正常な判断が出来る者であればそんな桃など取ろうとは思わないだろうが、おばあさんはおじいさんを待つことにもう疲れてきてしまっていた。
自分が霊になった後も待ち続ける意味などあるのか。そもそもいつまで待ち続ければいいのか。本当に自分はおじいさんから愛されていたのだろうか。
こんな思いをするくらいなら、いっそ…
その桃をおばあさんは手に取って家に持ち帰った。持ち帰ってしまった。