奏歌翔音 2020-03-03 18:33:56 ID:5762b1903 |
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【ニシの組織 実験場 疾風&蘭花】
「うへぇ、僕自己犠牲精神って表現が1番わかりやすい君達のそのやりとり好きじゃないんだよねぇ。ちょっと周りの凡人よりいい凡人の君達の基準だと僕は1人ずつじゃないと対応できないと思ってるのー?
前は明確にはっきり、そしてちょっとお茶目心で1人ずつしたけど今回は『証明』が目的だからね。長い映画を黙って見てられるお子様はいないのと同じさ。ミナミの爺さんが飽きないように、納得するようにが目的ってな訳で……____サクッと全員纏めてやっちゃうよ!
だって僕はニシの天才、疾風様だからねぇ!」
白衣を靡かせてリズム良くジャンプしながら踊るように3人のおでこをぺちっと叩き、4回目の着地でくるりと回って指を鳴らせば途端に制裁が下される。
烏丸さんひいては禁忌と呼ばれる武器達の魔力が突然半分以上糸を切るように途切れ紅さんの視界はモノクロに染まり疾風が弧を書いて笑みを浮かべればプツンと電源が切れたテレビの様に1寸の光を失う。その光景の中刹那さんはこの実験場に僅かに漂っていた血の匂いがふっと消え失せ唾を飲み込んでも何も感じなくなるだろう。何も感じなくは成るが痛みは鋭い。
細い針が何十本もバラバラに内側から突き刺す感覚が襲うその中で疾風はくすっと笑うと兎が跳ねるが如く刹那さんと紅さんの頬に触れれば痛みは瞬時に無くなり、僅かな違和感だけが残される。ぱっと離れてもう一度指を鳴らせば上の窓を開け蘭花が瓶……マジックボトルを投げる。
それが疾風に触れた途端薄く柔らかい透明な布に変化しふわりと烏丸さん達に被せて引っ張れば疾風の指からポキッと音がしたが半分に割かれた魔力がその布に巻取られていき布は疾風が引っ張っていく程形を、形状を、物質を変えてやがて全てが巻取られれば疾風が握りしめていた掌を開くと光が当たる事に色がキラキラと変わる硝子のような丸いキーホルダーがぶら下がっていた。
疾風が持つ魔法、ブレイクで3人まとめて破壊して2人が破壊された味覚と嗅覚、として視覚の神経や肉にオリジンで補正をかけてそれが人体の細胞で修復されることの無いようにその状態で『修理』する。そのまま割かれた魔力を回収する為蘭花に頼んでいたマジックボトルを1度オリジンで布に形状を変え纏めて包み込み再びオリジンで膨大な魔力を結晶として具現化させたキーホルダーを作り上げる。
最後の仕上げと言わんばかりに烏丸さんと武器と言われた意志を持つ物達に疾風が徹夜で作った魔法具、禁断の果実を投げ渡せば撮っているカメラに体を向けてニタリと笑い
『これを真似出来るくらいになってから僕を煽りな、お子様達?』
と口パクで伝えれば折れた何本かの指等気にせず手を1度叩く。その音を最後に蘭花はカメラを止めた。
「っはーい!お疲れ様!!」
やりたい放題出来た疾風の笑顔は清々しかったが自分の手を見て「あっ指折れた!あー恥ずかし!」と声を上げた。
上の窓の空間では蘭花がカメラの映像を見て頭を抱えた。
「……これはソーマに送ったらワタシが目を付けられるアルから牡石に送ろ……。怒られるの嫌アル。」
そう呟いた。
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>七種さん&那由多さん
【デネブ以下略 天笠の部屋 恵人&天笠】
「おっと、七種くん?」
天笠を説得しようとしていた恵人と七種さんを泣かせた恵人に話を聞こうとした天笠は驚く。そっと抱きついて鼻をすする七種さんに恵人は初めは静止してしまう。だがこれがヒーローなのだろうか?この部屋の誰よりも、切なく、そして慈しむような顔で七種さんの頭を撫で、背中を摩った。それは抱っこと言うよりは恋人にする様なやり方だったが恵人にとっては親友にするスキンシップのひとつだ。
「今だけじゃなくていい。何度だってする。」
ただその一言を告げた時、那由多さんの告白を聞いて天笠は驚くが恵人は、否【デネブ】は驚かなかった。そのまま七種さんを抱き寄せて落ち着くまで背中を擦りながら彼女の涙声の告白を静かに話を聞いて、言葉が終わった時そっと口を開いた。
「那由多くん。」
その言葉は強い。那由多さんが視線を合わせようと合わせなくても、彼は真っ直ぐな瞳で続けた。
「君が言いたい事は分かった。だが、君の人生の権利を容易く他人に渡してはいけない。
他人に委ねて、自分の意思を捨てて甘えてはいけない。」
「っ恵人くん。」
「だけど、俺は君を信じてる。____君はとても優しい人間だと!
だから俺は君を歓迎する。君が困っていたら助けに行く。何時でも、何度でも!
ヒーローは何時だって泣いてる人を助けるものだからな!
君が笑って過ごせる様になる日まで俺は何時でも君の味方だ!!
悪の組織だからと言って偏見を持って、何になる?正義に理由があるように悪にも理由があるんだ。俺達は今は対立しているがいつか手を取り合って共に未来の為に行動を起こせるようになると信じている!だから、那由多くんが悪だとか丸腰だとか、そういうのは俺は関係ない!那由多くんは那由多くん、それだけだ!」
君のその苦しみが晴れる迄、皆が笑顔になれるようになる為ヒーローは存在するんだ!
これが彼がヒーローであり、デネブという組織の若いリーダーでいられる理由かもしれない。馬鹿正直で、無鉄砲であまりに甘い。そして誰よりも真っ直ぐに理由をもって悪の組織も正義の組織も見つめて、見極めていた。ただの悪だと決めつけずに理由を見出していく。……これが恵人の1番の強さであり、天笠にとっては目を閉じる事実だった。
恵人の判断を聞いた天笠はそっと那由多さんの傍に寄り、かがみ込むようにハンカチで優しく目元を抑える。
「恵人くんはああ言ってる見たいです。
そして私も、斑鳩那由多さんと仲良くなりたいと思っています。ふふっ、一緒ですね。
だから、いいんですよ。深く考えすぎなくても。……私もまた、悪も正義も関係なく、怪我をしている魔法少女……あるいは魔法戦士の方々が居たら手当をするんです。もしかしたら一部の正義の方々からしたら裏切りにも見えるかもしれません。でも私は悪も正義も関係なく失われる命を減らしたいから医者をしています。
そんな私でもこうして過ごせて、笑っていられます。だから斑鳩那由多さん。まだまだ貴方は若いです。楽しい事も辛い事も沢山あります。貴方の人生を彩りたいと思っている1人に私が居ることを忘れないでください。
私は皆さんが怪我なく過ごせる様にしますから。」
恵人くんより上手く言えませんね。元魔法少女なんであまり説得力が無いかもしれませんし。そう言って天笠もまた微笑んだ。
少なからずこの2人は那由多さんも七種さんも、そして今はこの場にいないがルサルカさんやニシに行ってしまった刹那さん達のことも信頼していると言うことだけはハッキリと伝えていた。
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