奏歌翔音 2020-03-03 18:33:56 ID:5762b1903 |
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>11129 イース/外導操
【ベクター/キタアジト】
「……おやおやおや。こんな所でそんな敷けた顔してどうかしたか?」
何ひとつとして形のあるものを識別することができないそれは恐ろしいほどの完璧な暗闇だった。
そこに何があるという気配さえかんじられない。
自身の体さえ見えないのだ。そこにあるものは黒色の虚無だけだ。
暗い暗黒は暴力の粒子を漂わせて、そしてそれがうみへびのように音もなくするすると近寄ってくるのを見ることさえできないだろう。
壁のありそうな方に手を伸ばしてみた。
闇の奥に固い縦の平面を感じ、壁がそこにあった。
壁はつるりとして冷やかだった。
__パチン。
壁スイッチに指先が触れて音が響くと闇が背を向けて一斉に退いていった。
そして、奇妙にまぶしい蛍光灯の光が鞭打つようにガランとした部屋の居間にある壁やフローリングを白々と照らしていった。
「目が悪くなるだろう?」
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