その探偵、《無》の四拍子

すみません……これだけは克服出来なくて……
(仕事の邪魔にならないように、とソファの角に座っていたが手持ちぶさたなためコーヒーでも淹れようかと思い付くがお茶にしようかコーヒーにしようか迷った末、結局どちらも一杯ずつ持ってきてソファの前にトレーごと置く)

…ありがと。
(トレーに置かれたコーヒーを手に取り)

いえ、どういたしまして。
あの……お仕事どれくらいかかりますか？邪魔でなければ私も此処に居ていいですか？
(貴方の反応を窺う様に視線を送りながら)

…後1分くらいあれば全部記憶できる。
別に良いけど。
(とんとん、と自分のこめかみを叩き)

有り難うございます……！
(嬉しそうに礼を言うと、眼鏡を掛けて貴方の横顔を見つめ乍緑茶をすする。こんな短時間で全て記憶出来るなんて、と感心しながらも邪魔にはならないように黙っている)

……………。
(変化は見えないがどことなく真剣な表情で書類に向き合い、ぺらぺらと捲りつつコーヒーを飲み)

…………あの、コーヒーお代わり持ってきましょうか？
(話し掛けるのは良くないと思うが、コーヒーの減りが早いので思わず声に出してしまう)

…もう覚えたからいい。
ちょっと寝るから、起こさないで。
(書類を置くとのそのそとソファーへ戻り、瞳を閉じて)

わかりました。
……では、私は少し買い物に出てきますね！
(眠った貴方を見て、睫毛長いなと思いつつ身支度を整える)

……………。
(安らかな寝息を立て、ぐっすりと眠っていて)

あ、このままじゃ風邪をひかれてしまいますね……
(近くにあったブランケットを持ってきて起こさない様に掛けると、そっと買い物に出掛けるためにその場を離れる)

…………。
(相変わらず気付くことなく、眠っていて)

……ただいま戻りました。……重かった……
(両手に沢山の食べ物の入った袋を持って)

あれ、絢さんまだ寝てるんでしょうか……。
(荷物をキッチンに置いてから貴方の様子を見にソファーに向かう)

……………。
(起きてはいるがまだ寝ぼけた様子で、ぼうっと小説を読んでいて)

あ、起きてらしたんですか。
絢さんおはようございます。
(驚かさない様に正面から近付き、声を掛ける)

もうすぐお昼なんですが……お腹空きませんか？
何かリクエストあれば作りますよ。
(微笑み乍優しい声で話し掛ける)

…おはよう。
特に食べたいものはないよ。
(すっくと立ち上がり)

そうですか……では何か適当に作りますね。
絢さん？どこか出掛けられるんですか？
(貴方が立ち上がったのを見て、キッチンに向かおうとしていた足を止める)

別に予定はないよ。
(小説を本棚に戻すと座り)

そうですか。
(予定が無いときき止めいた足を動かしキッチンに向かう)

……あ、そういえば。先程買い物をしてるときに肉屋さんの奥さんが、猫に逃げられたと愚痴っていました。
見つかれば良いのですがね。
(買い物であったことを雑談の様に貴方に教えながら手際良く料理を作っていく)

ふーん、猫ねぇ。
(興味なさげに呟き)