lear 2019-10-19 16:36:50 |
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モーゼ 「 ……俺は正義だ…俺は正義…俺は正義…俺は正義…俺は正義…俺は……正義 」
( 出血多量で視界が歪む。頭痛とともにキーンと鳴り響く耳鳴り。俺は果たして正義なのか、という強い疑問。王や貴族、ギルドを敵に回した俺は、おそらく王への不敬罪、そして国家反逆罪で指名手配犯となった。今頃、軍や憲兵などの連中は犬のように俺を嗅ぎ回っているだろう。さらに俺が中央司令塔のスピーチで扇動した、民衆らを弾圧しているのか。またしても、俺は民衆を死なせている。大いなる理想には、大いなる犠牲が付き物だと分かっていても、苦しい。キツすぎる。
そして、俺は『ある決意』を固め、不安定ながらも立ち上がる。そして鏡の間の前で、台にもたれかかりながら、コートの懐から折りたたみ式ナイフを取り出す。俺はそれを強く握りしめて、ぴとりと自身の頬に当てがい、ナイフの刃を、皮膚の内へ内へと押し込んでゆく。頭痛の激しさが増す。心臓の鼓動が早くなる。騒々しいほどの耳鳴り。ドス黒い血。震えだす肉体。)
モーゼ 「 ……ッぐ…ぐぐ 」
( 刃先を進める。まるで堅いステーキを切るように強く、そしてなるべく顔の輪郭に沿って、ナイフで皮膚を切り進める。片手しかないため辿々しくなるものの、そんなものは気にする余裕すらない。長い痛み。連続する痛み。悲鳴をあげる皮膚。やがて、ナイフの刃は顔の輪郭を一周するような形で、皮膚を切り刻んだ。激痛に駆られながら、俺はナイフを地面に捨て、自分の顔の皮膚を鼻から鷲掴んでは、強く、引きちぎるように引っ張った。)
モーゼ 「 がぁぁぁっ…ぁ…ぁ… 」
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