lear 2019-10-19 16:36:50 |
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( ーーある評議会にて。貴族風のダイニングテーブルの上には、いくつもの高級なロウソクが立ち並び、男たちが座っている暗闇の辺りを薄っすらを照らしていた。 )
ロンメルン卿 「 残念ながら国王や貴族、そしてギルドマスターを処刑し、共和政を樹立させる、という第三計画は失敗に終わったようだねぇ 」
黒いスーツを着た男「 問題はない。それよりも、例の地下の計画については進んでいるのだろう? 」
ロンメルン卿 「 もちろん。第三計画はカモフラージュに過ぎないからねぇ 」
黒いスーツを着た男 「 それで、次はどうするんだ。地下から解放するのか? 」
赤いスーツを着た男 「 いやまだ時期尚早だ。計画通りに成熟していなければ意味がない。しばらくの間、モーゼ・リープクネヒトという男に任せてみてはどうだろうか 」
黒いスーツを着た男 「 だが奴は、捕らえられたのでは?」
ロンメルン卿 「 心配には及ばないよ。彼の歪んだ思想は、狂気をも超越したある種の正義感に駆られている。例え、捕らえられたとしても何とかなるさ。何より彼は、悪魔的な『憤怒の力』を持つのだからねぇ。もっとも、遅かれ早かれ、始末すべきではあるけれどねぇ 」
黒いスーツを着た男 「 だが問題はギルドだ。今回の一件で、民衆は二つに分裂したはずだ。一つは王や貴族、ギルドを擁護する派閥。もう一つは王や貴族、ギルドに反発する派閥。これでは共和国は成立し得ない 」
( 突如、バタンッと扉が開けられる、するとそこからペストマスクをした男が室内へと踏み入ってくる。両手には、生首の髪の毛を掴んで、それを勢いよくダイニングテーブルの上に乗っけてみせる。ロンメルン卿を除いて、その他の評議会のメンバーは、一瞬、固まる )
黒いスーツを着た男 「 なんだお前は? 」
ペストマスクの男「 …あぁ…そんな睨みつけるなよぉ? 俺は敵じゃない。むしろ、渡りに船と言ったところだ。そうだろ? んん? これを見ろよ (生首を持ち上げ、) 大貴族の首だぜぇ? すごいだろう、どうだ、遠慮せずもっとよく見ろよ。この断面なんて、めっちゃグロテスクだろ? ここが大動脈で、ここが脊髄、このブツブツとしたのがぁ… 」
赤いスーツを着た男 「 お前の要件はなんだ? 」
ペストマスクの男 「 俺はお前じゃない。いいか? 次、俺のことをお前と言ったら、赤い男の膝を切断して、黒い男に食わせてやる。ハハハハハハッ! 冗談さ。そんな目をするなよ。安心しろ、俺はそんな凶暴な野蛮人じゃない。俺は、ペニィだ。ペニィと呼んでくれ。それで、要件なんだが、ギルドが厄介なんだろ? んん、そうだろ? 」
赤いスーツを着た男 「 お前に何ができる?」
ペニィ 「 …単純だよ、殺せる。そう、上級ギルド冒険者を殺せるのさ。俺は死の運び人だからなぁ。」
ロンメルン卿 「 ではペニィさん、そちらの要求は? 」
ペニィ 「 あぁ、そうだなぁ。そいつを聞いてくれなきゃなぁ…俺の要求、すなわち、モーゼを残虐に殺したい。これが俺にとっての報酬だ 」
ロンメルン卿 「 金銭ではなく、彼の死が望みなのですか? 」
ペニィ 「 …そう、それがぁ、まさしく俺の望み 」
ロンメルン卿 「 いいでしょう 」
赤いスーツを着た男 「 おい… 」
ロンメルン卿 「 ただし、随時あなたを監視すると共に、これからも我々の評議会にも参加していただきたい。本音を白状すれば、あなたはまだまだ疑わしい 」
ペニィ 「 あぁ、いいねいいねぇ、正直者は嫌いじゃない。それじゃ、俺はもう行くよ。やることが増えたんでねぇ 」
( 生首をダイニングテーブルの上に置いたまま、ペストマスクを被った男、ペニィはダイニングテーブルの周りを一周する不可解な行動をした後に、颯爽と部屋を出た )
黒いスーツを着た男 「 あいつはイかれてる。起用するのはどうかと思うが、ロンメルン卿 」
ロンメルン卿 「 何事も虎穴に入らずんば虎子を得ず、ですよ 」
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