「………………ただいま、戻りました」 妙に礼儀正しい挨拶をし、「十六夜」と表札の 掛かった屋敷の扉を引き開ける。 《おかえりなさい》 優しい、柔らかい声が聞こえる。 彼の母、十六夜 美夜子(いざよい みやこ)だ。 昔は凄腕の陰陽師であったが、今は病気で 寝たきりだ。