匿名さん 2019-05-04 12:37:46 |
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あー……そういや昔も来たっけな、此処。
(次のアトラクションを求めて歩き回る相手の後ろを付いて行き、やがて辿り着いたホラーハウスを目にすれば幼い頃3人で訪れたときの思い出が甦り。不気味に嗤いながらにじり寄るピエロに酷く恐怖心を煽られパニックに陥った末、繋いでいた手を振り解いて逃走してしまい、係員に保護されたところを相手と兄に見つけて貰ったのだと薄ぼんやり回顧しては、ガシガシと乱雑に後頭部を掻きつつ乾いた笑みを零し。廃墟のような古めかしい洋館を模したホラーハウスを一瞥したのち握られた手に視線を落としては指を絡めて恋人繋ぎにし、相手の瞳を捉えながらゆるりと口端を上げて「はッ、もうガキじゃねぇんだ。誰がビビるかよ」と不敵な笑みを浮かべ見得を切り。一時期ホラーゲームにどっぷりハマってVRにまで手を出した身としては恐怖心よりワクワク感の方が圧倒的に勝り、リメイクされているということも相俟って好奇心が膨むばかりで。幼い頃に泣かされた分とことん楽しんでやると密かに意気込みながら、相手と共に恐怖の世界へと足を踏み入れ。__屋敷の中へ入ると背後でガチャンと鍵が掛かる音がして、何処からかオルゴールの音色が聴こえてくる。所々音程が外れるたび冷ややかな狂気が背を這い、繋いだ手に僅かばかり力を込めて。「閉じ込められちまったな」ぽつりと呟きつつ薄暗い部屋の中を見渡せば天井の隅に蜘蛛の巣が張っており、壁には大きな額縁が飾られているのが見え。紅い血糊で矢印が描かれていることから順路は其方だと分かり、相手の方へちらりと目を向けては無言のまま手を引いて廊下と思しき通路を歩いて行き。チカチカと心許なく明滅を繰り返す電灯の下、トラップが仕掛けてあるんじゃないかと警戒しつつ進んで行けば廊下の壁際に何か立っているのが見えてきて。更に近付くとそれがピンク色のうさぎの着ぐるみだということが視認でき、距離を詰める毎に、口の周りが血塗れになっていることや片手に肉切り包丁を携えていることが分かってくる。「…アイツ動きそうだな。敬人、なるべく離れとけよ」耳元で小さく囁いては相手を着ぐるみとは逆側の壁の方へ促し廊下を通り抜けようと試みて。着ぐるみをジッと見据え、気を張り詰めながら擦れ違うも予想に反して微動だにせず、『なんだ、ただの置物か』と警戒心を解きかけた瞬間、両側の壁から幾つもの白い腕が伸びてきて)
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