執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>マリーシュカ
……!(言い付けを守り、みだりに部屋の外へ出て歩き回る事を避け、押し寄せかける退屈さと不安を誤魔化しつつ過ごす日々。淑女への贈り物にと受け取ったラナンキュラスの花が枯れてしまわないかと毎日気に掛ける程度には、まだ見ぬ"吸血鬼のレディ"との出会いを楽しみに待つ心があった。この日も例によって、未だその美しさを保ったままの花をぼんやりと見詰めながら退屈さに耐えていたが、不意に耳へ届いたノックの音にぴくりと反応する。期待と警戒、とくとくと高鳴り始める胸に手を添えながらそろそろと扉へ近づく最中、憶えのある名を口にしたその優しい声にいよいよ隠し切れない輝きを瞳に宿しつつ扉を開くと「初めまして__お会い出来て光栄です、マイレディ」、そう言って白く細い彼女の手を取りその甲へそっとキスをして)
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