執事長 2019-05-03 19:58:05 |
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>テオ
赤いの……ああ、コレ?興味あるならテオも今度お化粧やってみる?(赤いの、珍しい。二つの単語を頭の中で咀嚼し、彼の目線の先にある己の唇へ左人差し指で触れる。普段よりも背伸びをし、大人に近づく為の手段。色気の無い言い回しは単純な感想のように聞こえもするが、都合の良い頭は言外に褒められたような気もする。カラカラとなおも楽しげに笑いながら、相手の顔を見上げ。また一式道具を用意してもらい、彼の顔を可愛らしくデコレーションするのも、真逆な雰囲気のパンクに変身させるのもとても楽しそうだと想像を羽ばたかせながら冗談と本気半分の言葉を紡ぎ。水辺に進む途中、彼が足を止め、湖面の水の確認をする様を見ては一瞬体を硬直させてしまう。──本物じゃない。たった一言で、頭を鈍器で殴られたような衝撃が走る。彼は、本物を知っている人だ。自分の全身を巡る生命の源の、その血肉の味を。忘れていたわけじゃない。最初から彼は隠さずそう言っていたじゃない。改めて直面した現実を、今さら怖いと思うなんて。ドキドキと警笛のように鳴る鼓動を無視し、きゅっ、と手に込める力を強め。「そ、そっか!そっくり過ぎてビックリだねっ」ニッコリ、と瞳を細め努めて笑みを顔に張り付け。出だしは音がひっくり返ってしまったかのように妙に高い音として響いてしまったが、その後は普段のように、どこかおどけた調子で何とか言葉を打ち返し。船の前まで来れば、繋いでいた手を離し、風により微かに揺れるボートの縁を両手で掴み、慎重に片足を上げ。足の裏を着地させ無事両足が跨ぎ終えれば、縁を伝いつつそのまま奥のスペースへ。動かない地面と違って、足の定まらない不安感を感じながらもゆっくり腰を落ち着かせれば、ふぅとため息を着き。船に乗るのに一生懸命になってしまえば、先程の胸のつっかえは一度頭の片隅に追いやられたようで「っと……この感じ久しぶりかも。多分、大丈夫だと思うからテオもおいで!足元にはくれぐれも気を付けてね?」昔、小さい頃両親と遊んだ公園の側にあったボート場。ふとそれが思い出されては、懐かしいような気分に駆られつつ、強度の確認を。今の所問題無さそうだ。この世界は不思議な魔法もあるのだから、これならきっと。そう判断すれば座ったまま手招きするように、一緒に乗ろうと相手へ呼び掛けようか)
(/ありがとうございます!いえいえ、此方は大丈夫でしたのでお気になさらず…!時間が許します限り、本日も宜しくお願い致します!では失礼致します…!)
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