彼岸鬼神社の恋物語(BL)

田舎のある町には、こんな噂があった。
「山の天辺にある彼岸鬼神社の神木は、
穢れを祓って町を護ってくれている」と。

【……退屈ですね。】

神木の嘆きは、狛犬にしか届かない。
〔主…私では、駄目ですか〕
狛犬の嘆きもまた、誰にも届かない。

町が出来るより昔から、その場に立っていた
神木は美しい人の姿を借り、神社の来客を
歓迎できるようになっていた。

ある日、神木に恋心を抱いた少年が居た。
彼は、その少年が年老いて死んでも、
美しい青年姿のままだった。

それから彼は気が遠くなるほど永き時を
たった独りで生きてきた。

これは、人間の少年と神木の物語。

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