読・書【Long/Middle/Short All OK】

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御鏡  2019-03-23 18:45:40 
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このトピは、小説を載せ合うトピです。
(『絵や小説を載せ合うトピ』の
セイチャ版と思っていただければ…)

タイトルに記載した通り、
長編も中編も短編、全て大歓迎です。
読む専でも大丈夫ですし、
小説でなくても、感想等もOKです。

では、皆様のご参加をお待ちしながら、
一筆して行きたいと思います。

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  • No.4 by 御鏡  2019-03-23 23:00:56 

他の皆々様にも再会できると良いのですが…
取り敢えず、友人の誕生日のために一筆した小説を…
途中の■■の中には、友人の名が入るので、読む時は本名を入れて読んで下さい。

 綺麗だと、美しいと思い、眼前のそれを見る。
色を失った自分のそれと違い、エマのそれは酷く輝いて見えた。

「…シャムカルラさん?どうかしましたか?」
「ん?嗚呼、何でもねぇだよ」
「そう…ですか?なら、良いんですけど…」

 誤魔化しはしたものの、本心は違う。彼女のそれは確かに
美しく、本来ならば自身が所有しているあの文献内にも
含まれる筈だ。にも拘らず、そうではない…やはり、
住む世界が違うと言う事か。

「シャムカルラさん、やっぱり変ですよ。
本当に大丈夫なんですか?」

 気付けば、彼女のそれが眼前に迫っていて。
理性の箍が、弾け飛んだ。

 我に返った時には、そこに彼女の姿はなく、点々と続く
赤い染みと、右の指先に触れるそれとが、己が何をしたのかを
悟らせてくれた。

「おらはまた、無関係の者を…」

 後悔しても、もう遅い。だが、せめて一言、謝罪を
述べねばならない。そうして、暗殺者たる彼は血痕を辿り始めた。


 風邪、水疱瘡、蕁麻疹。様々な病を患った患者が、今日も私の
診療所を訪れる。

「…最近は、オペの予定もありませンし…平和、なのカナ…」

 ボソリと呟いた刹那、私の背後で扉が開く音がした。同時に、
仄かに甘い匂いが鼻腔を擽る。嗚呼、彼女の香りだ。

「おや、エマさん!いらっしゃ…って、その眼…!!
どうしたンですか!?」
「先、生…痛い、痛くて、血が、止まらな…の…助けて…」

 息も絶え絶えになりながら、彼女は必死に私を呼んだ。
嗚呼、違う。今日の彼女は、可憐な少女ではない。
私の、大事な、大事な大事な患者サマ。

「さァ、その左眼を見せてください…誰の仕業か、
なァんとなく想像出来ますがネ」

 眼球のあった筈のそこにペンライトの光を当てれば、そこは
赤黒く染まっていた。しかし、網膜は少しも傷付いていなくて。
嗚呼、やはり彼の仕業なんですね。そうと解れば話は早い。
セルリアンと呼ぶべき色の液体が入った小瓶を懐から取り出して、
惜しく思いながらも、その美しい眼窩に浴びせる。

「…どうです?まだ痛みますか?」
「ん…もう、痛くない…ありがとう、ファウスト先生!」
「いえいえ。ご謙遜を!私は医師として、
当然の事をしたまでデスから!!」

 私はそう言うが、“私”はそう言っていない。
“私”は、もっと血に濡れた彼女を見たいと言っている。
さて、アナタはもう楽しんだのでしょうから。
今度は、ワタシが楽しませて貰いましょうかぁ…


 彼女の細い腕を掴み、ぐい、と自身の方に引き寄せる。
紙袋越しに彼女の顔を覗き込めば、些か驚いたようではあったが、
拒絶の顔は見せていなかった。

「嗚呼…やはり綺麗ですねぇ…君の眼は…シャムカルラさんに、
抉られたんでしょぉ…?狡いなぁ、狡いなぁ…ワタシだって、
本当は欲しくて欲しくて堪らないのにぃ…ねぇ、エマさん…
ワタシ、君の全てが欲しいです…良いですかぁ?」

 カクリ、と首を傾げて彼女を見れば、ワタシの狂気を
感じ取ったのか、彼女は微かに抵抗の色を見せた。
嫌だ、嫌だ嫌だ。ワタシを拒絶しないでくれ。

「ひ、ぁ…先生…」
「嗚呼…甘い、ですねぇ…甘く香る血よりも、官能を刺激する
蜜よりも…君自身が、甘い劇薬…それはさながら麻薬のようで…
ワタシはまた、離れられなくなる…」

 彼女の首筋に顔を埋め、幾度も幾度も口付ける。
一度“ワタシ”が、「ちょっとは自重してください!!」と
書き置きを残していたが、ワタシでは我慢し切れる筈がない。

 嗚呼、もう良いかな。充分愛撫はした筈だ。彼女が纏う
ツーピースの釦に、手を掛ける。
 ドス、と鈍い音がして、目の前に紅が舞った。


「……もう来ちゃったんですかぁ?」
「…その娘っ子から、薄汚ねぇ手を離すだ」

 舞い散る紅は、ワタシの腹から溢れた血だった。そこからは、
刀と言う武器が顔を出していて、次いでワタシの身体に、鎖が
巻き付いた。自由に動かせる首を、180°回転させて
後ろを向けば、そこには思った通り彼がいて。

「…シャムカルラ君……大切に出来ないなら、最初から手にしちゃ
駄目なんですよぉ…?それに、ワタシの手を薄汚いだなんて
言ったら、君も同じじゃありませんかぁ…」
「…黙れ。おらはお前なんぞと一緒にされとうない」
「冗談が通じませんねぇ、君は…うふふ」
「……エマ、今の内に早う逃げんか」
「え、あ…でも、シャムカルラさんが……」
「良いから早う行けぃ!!」

 嗚呼、美しいそれが私に背を向け逃げて行く。またワタシは
失うのか。いや、それが本望だ。シャムカルラ君に
言ったばかりじゃないか。大切に出来ないなら、最初から
手に入れない方が良い。
 それに、恐らく今ここで、ワタシの32年の生は幕を
閉じるのでしょうしねぇ…


 ガン、と鈍い音が響き、痛みに視界が歪む。
私は一体何をしていたんでしょ…?

「…闇医者よ、元に戻っただか」
「その声は、シャムカルラさん?…何時からココに?」
「ついさっきじゃ。それより闇医者、一つ忠告をやろう」

 忠告と言う言葉に反応し、彼を振り向けば、はらりと紙袋の
切れ端が宙を舞った。何時ものドジで、揶揄い甲斐のある彼は
そこに居なくて。代わりに、滲み出る殺気がその場を包み込んだ。

「…闇医者よ。アレはお前ではない事は解っとうが…
例えお前でなくとも、今再びエマに降れてみぃ……その生命、
このシャムカルラ・アルマニーナが貰い受けるだ」

 ぞわりとした、寒気とも快感とも言えない何かが背筋を
駆け抜けた。黒いサングラスの奥で、私を蔑むように見る目。
嗚呼、それが彼女のそれだったら良いのに…

「…ええ。解りました…解りましたヨ…
早く追い掛けたらどうですか?」
「…無論そのつもりじゃ」

 シャムカルラさんが踵を返し、扉から出て行く。同時に緊張の
糸が切れて、私は床に座り込んだ。

「嗚呼…今日はもう、駄目かも知れませンネェ…」

 玄関から外に出て、「臨時休診」の札を扉に掛ける。嗚呼、
また思い出すだけでそこが熱くなる…いけないいけない。
早く部屋に行こう……

 嗚呼、遠くの地よりコチラを観察しているアナタ……
えぇと…名は…嗚呼、■■さん、デスか…お誕生日、
おめでとうございますネ♪


「…あの闇医者に、何されただか」

 己よりは小さい、華奢な身体を抱き締めて尋ねれば、エマは一瞬
肩をビクつかせ、

「な、何もされてない…ですよ?」

と言う。あれだけ目に涙を浮かべておきながら、
何を言っているのか。細い肩を掴んで、真摯な眼差しを向ければ、
すぐに折れるだろう。

「…何回も、首にキスされました…
他には、何にもありませんけど……」
「そうか……さっきは、済まなかっただ」
「…え?」
「…左眼じゃ。痛かったろう」
「あ…大丈夫、ですよ。でも、どうして左眼を…?」

 遂に聞かれた。己の秘密。己の眼。五体不満足なこの身体。
だが…別れの前に、教えよう。


「鼻は利かんし、味も感じぬ。右手で何に触れようとも、右側から
話し掛けられようとも解らんが、左側に立たれると認識出来ぬ。
見えぬ、聞こえぬ、味わえぬ。故におらは、左眼が欲しいんじゃ…
左眼さえあらば、左半身だけど言えど五感が全てあるのだから…」
「シャムカルラ、さん……じゃ、じゃあ!
私がシャムカルラさんの左眼になります!!」
「…何?」

 今のは聞き間違いだろうか。確かに、自身の眼になると
聞こえた気がしたのだが。

「私がシャムカルラさんの眼になるんです!!
それなら、シャムカルラさんは左眼を手に入れられるし、
私も眼を抉られないで済みます!!だから…だからどうか、
傍に居させてください」

 小さな手が、服の袖を掴む。見上げて来る瞳は潤み、涙に
濡れていた。嗚呼、やはり彼女のそれは美しい。

「…宜しゅう頼んだ」

 ふわりと微笑んだ彼女の瞼に、そっと口付けを落とせば、
何処かから

「…おめでとうございますネ」

と、あの闇医者の声が聞こえた気がした。


…ハイ。中韓系と見せて母国語は独な暗殺者、シャムカルラ・アルマニーナと、
エマちゃんことエミリー・ホプキンスのお話です。
シャムエマ+ファウでしたね…あ、ファウって言うのは、
ファウスト・カレスことファウストの事ですよ。

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