御鏡 2019-03-23 18:45:40 |
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第二章
「カミサマ」は憂鬱。
「カミサマ」は、相変わらず容器の中に居た。
使いの彼女は、僕によく話をしてくれた。
「カミサマ」との出会い、
「カミサマ」を奪おうとする人間のこと。
「…その人たちは、私の「カミサマ」を
奪おうとしたの。
【研究対象だ】【研究しなきゃ】って」
彼女は、顔を苦々しく歪めて言い放つ。
僕は彼女の話に頷き、聞き流していた。
しかし、彼女は聞き捨てならない
言葉を発した。
「私たちね、夏でここを出ていくの。
もっとちゃんと、「カミサマ」を
受け入れてくれる街を探すの」
『…そうなんだ』
〔……ね…ぇ〕
「カミサマ」が、僕に手を伸ばす。
僕は、容器越しに彼女に触れた。
〔……あ…なたは………………なの…?〕
途中が、酷く掠れていて聞き取れなかった。
『ごめん…何て?』
〔…………………なの…?〕
やはり、その部分だけ
ノイズが掛かったように聞き取れない。
いや…まるで、脳がその部分だけ聞くのを
拒絶しているようだ。
〔………わ…たしは……憂鬱、なの…〕
彼女がそう呟いたのも、
ろくに聞こえなかった。
【私達、夏で出ていくの】そんな言葉が、
酷く耳に引っ掛かって。
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