失ってばかりのような気がするけれど、それでも私の手にしているものは、ランドセルに詰め込めないくらいたくさんなのだ。 ( 中略 ) ランドセルを久しぶりに背負ってみようとした、腕が通らなかった。それでひとしきり、また笑った。静かな日曜の午後である。 ( 『 presents 』/ 角田光代 / 2005 )