語り手 2019-01-06 21:47:19 |
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(ぺちゃりぺちゃり。照明の無い薄暗い部屋の中、僅かな月明かりを頼りに舐めているのは爪の間に詰まった血肉。今日の公演が終わり食事も終えてしまった現在、深夜の空腹を満たすものは何も無く、ひもじさを紛らわす為に始めた行為は既に数十分が経とうとしていて。とはいえそこで外に出て自ら鼠や蝗でも捕まえようと思わないのが彼女らしいといえば彼女らしいか。まだ年若く下っ端の団員だというにも関わらず、舞台の凄惨さも相俟って悉く同室を断られたが故に兄と二人きりで与えられた一室は、その同居人が居ないせいか何処か寒々しい。否、元より暖房器具などないこの部屋は霜の下りるこの季節、極寒と化すのだけれど。暗さと寒さ、そしてひもじさ。三重苦にぐるぐる唸り、舐めていた爪を今度は一転がじりと噛めば、「__ケンジはどこ?」と、一番の疑問をぽつりと虚空へ零そうか。厭らしい前団長の居ない今、彼が深夜に己の前から姿を消す必要は無い筈なのに。何故、何故。一人で何処かへ行くなんて狡い。面白くないと唇を尖らせれば、扉の方へ体を向けて。糾弾の準備は整っているとばかりに目を光らせれば、帰りを待っていようかな。)
(/絡み文を上げさせて頂きました。とはいえ初回文は毎度迷走の傾向がありますので、絡みにくければ遠慮なく仰って下さいませ。取り敢えず深夜の公演後から始まっています。それではここら辺で背後は失礼させて頂きますね。改めてこれから宜しくお願い致します…!)
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