鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
通報 |
>折原臨也
(それは突然だった、罪歌の僅かなざわめきと鳴り止まないスマホの通知。非常事態だと一目瞭然のその状況、その中心となっているのが彼だということも何処でどういう状況かも全て罪歌の子達が伝達し、顔は分からないが犯人らしき人の影を追っているということも知った上彼がいる場所へと颯爽と歩みを進めた。薄暗い路地裏、何処か見覚えのあるその場所に迷いなく突き進めば力なく空を拝む彼の姿、口角を引き上げ笑う彼も顔は案の定青ざめている。「…無様とはこの事を言うのですね。今回の貴方のその状況を作り出したのは貴方自身の失態です、自分の蒔いた種にまんまと引っかかった…この前の私のアドバイスはお忘れになったのですか?」時と場合、節度と限度を守るようにと言った傍からこの有様だ。手を差し伸べるわけでもなく唯見下ろす体勢のまま口端から血を流す彼を見ることしかしなかった。見てわかる外傷と息遣いから察するに相手が危ない状態なのは分かっていたがそれでもなかなか手を貸さないのにも、痛い目を見て今後の行動を見返すいいチャンスにもなる。「今回ので身に染みたでしょう。」薄く目を開ける彼もそろそろ限界な筈。やっとしゃがみこみ顔を除くように血が付着し少し重くなった上着のちょうど脇のところに手を差し入れ、力を入れれば容易く彼の体を持ち上げることが出来る。まともに足を運べない彼をそのまま俵を担ぐ容量で左肩に乗せるようにかつぎ込み腰の位置に片腕を回して固定して、壁をける要領で建物の屋根へと飛び移った。「…少々、揺れます。傷に響くかもしれませんが我慢してください。」そう短く返して自分の持つ中で一番この場所に近い事務所へと向かっていった。)
トピック検索 |