鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(高らかに笑い声を響かせる相手は、ソファーから離れて行った。それに続いて此方も身を起こし座るだけの体勢になると、死にたい奴は殺さない。相手の言葉はまるで自分が死にたがりで、死ぬ事を望んでいる風に聞こえたがそれは違う。悪魔で選択肢が無かったから…壊されるならその後に殺されても仕方ないとそう思ったから、弁解しようと口を開くも直ぐに閉じた。これ以上、自分の心内を晒し続ける意味も無いのにやはり今の自分は冷静な判断が鈍っているみたいで、ふと油断すると余計な事まで口走ってしまいそうになる。乱れた服を素早く直して「…今回は仕事の内の一環ですが、今度また会うと仰るならそれはプライベートで貴方と会う…という事になりますね。…検討しておきます。」素直にはいとは言わず、濁した返答をすれば部屋の隅にある時計に目を向ける。約束の時間まであと少し余裕があるも、この後にも控えている仕事はきっと残り僅かになった今日以内に終わる気がしない、徹夜も免れない憂鬱な気分が滲み出てきてしまい僅かな溜息が漏れた。時間は有効に使うべきだ、前回の部屋に置いていた自身の鞄と荷物を纏め始めると近くにあった人形を再び持ち上げた。その時感じた違和感、些細なもので最初は気の所為かと思ったが何せこれを持っていたのは彼だ念には念を。爪先からわずかな刃を覗かせて人形のちょうど喉あたりを掻き切り中を除く、予想は的中黒く機械的な薄い板状のなにかが顔を見せた。盗聴器といったそこら類のものに違いない。彼の観察への執着心は末恐ろしい…、その人形とそれを掴み彼の元へ「…貴方のその好奇心には人間として高く評価するべき点です。さらに向上させるには時と場、節度と限度を守るとより良いものになると思います。」彼の目の前に機械を見せつけると、そのまま指を折りたたみ手の中へ包み込んだ。徐々に力を加えて機械から軋む悲鳴が聞こえると次には破壊音が聞こえ、其れは破片へと変貌したのだが。表情は変わらずだが少し怒りに似た何かを滲ませて変わり果てた姿になったモノを彼の手に、それも丁寧に握らせて。「…又、連絡します。」それだけ残して部屋を出た。)
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