鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(彼の驚きと不快さが滲み出た表情を見たあと、次に感じたのは背中への衝撃と覆い被さる彼の瞳。爛々とした笑みを浮かべているのに、押さえ付けられた片手首に感じる圧迫感に狂気を感じるその行為にさへも自分の表情は揺るがなかった。彼は今回の取引を背後に抵抗する事は契約に反すると、その言葉を素直に飲み込み首元に顔を埋める彼の髪が時折こしょばゆい。抵抗すら事は許されない、この状況から逃げ出すことを否定され自分に残された選択は1つも無く。彼が飽きる迄耐え凌ぐ覚悟を決めた時、何時も何も言わない筈の罪歌が微かな声でこう言い放った、≪───貴方を愛して、愛してくれる人がいるなんて驚きね。貴方もその人を愛してあげないといけないんじゃない?≫そう告げるだけで後は何も言わなくなったが、彼は自分を愛しているのでは無く踏みにじってめちゃくちゃにしたいとそう告げたというのに。人を愛する事しか知らない罪歌に反論するのは意味が無いと判断して、罪歌の言う愛し方は人を斬ることのみだが今はその行為も抵抗に含まれてしまうと冷静に考えた。「…私を壊す。…以前園原杏里様に会った時私はこう言いました。私は悪人だと、出来るだけ人の手で苦しめられ陵辱され命乞いの通じぬまま嬲り殺されるのが見合う存在なんだと。」彼の目は見ていない、押し倒されたまま天井の壁をみてぽつりと漏らした。だが、今言ったその日がくるまで自分は今を楽しむしその日が来ないように出来るだけの最前は尽くすとも彼女に行ったのだが、それは喉の奥にしまい込み。反射的に赤く、紅く鈍い光を灯してしまった目を隠すようにゆっくり閉じて「私の過去の所行を事細かく全て世界に晒し上げれば、その大半は私を罪人だと、裁かれるべきだと断じることでしょう。ですが、その中の復讐者から殺されるよりも貴方その手で…殺されたい。でも、之だけは言わせてください、───楽しかった。」
最後の言葉は淡々とした口調とは違い、心の奥底から出てきた言葉。たった一言のそれに固く閉ざされた扉の向こうからやっと引っ張り出してきた特別感を自分でも感じた。らしくない、そう思いつつその言葉に合わせて掴まれていない方の空いた手で再び彼の後頭部を撫でるとそのまま抱きしめるように力を込めた。)
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