鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(手作りの料理。きっと作れないことは無い…だが今まで自分で料理を作るそれを食べるという一連の流れは今までの生活では全くと言っていいだろう、やったことが無いのが正直な所。それを他人に振る舞うとなれば半端な物は作れない。ゆっくりと瞬きを繰り返し相手の言葉を飲み込むまで多少の沈黙があったが、目を開いた時覚悟を決めた。「分かりました。ですが、味への保証は致しません。万が一それが食べ物としての意味を為していない物であっても責任は取れませんので…。」今回は普段見ない自分を見つけるのにいい機会だったかもしれない、慣れない事ばかりさせる彼はきっと彼で楽しんでいる様子だが、この手料理だけはイチがバチか。いつもなら、何処からかのデリバリーや仕事先で連れてこられた食事会に参加したりと普段から手作り料理を口にする機会もなく食事にこれと言ってこだわりとかもそれ同様に興味が無い。連れてこられた高級品が集うスーパーは、豊富な品揃えで見たことも聞いたことも未知な者が棚に陳列していた。予め調べておいたスマホのレシピと見比べて籠に材料をほおり込んでいくその間も彼は大人しく着いてきてくれていて、無事買い物を済ませ彼の事務所まで案内される道のりを歩いてく。連れてこられた事務所らしき建物は彼の持っている1つの拠点だろう、慣れた手つきで鍵を開け扉の中へ入っていく後ろを「お邪魔します。」脱いだ靴と彼の靴を丁寧に並べ奥へと進んだ。整理整頓が行き届いた内装は色が均等にされており落ち着いた雰囲気を醸し出している、そこの一角に存在したキッチンを見つけると「では、早速作業に取り組ませて貰います。調味料と器具を拝借します。」と告げてしっかり手を洗い下準備を開始した。フライパンの中で跳ねる食材に、立ち上っていく香りは香ばしく鼻腔を刺激する。手元にあるスマホを除きながら出際よく作業を進めていくこの感じは時折仕事内での案件を整理する際に行う書類仕事と重ねてしまう、仕事の虫に成りかけているそんな体に染み付いた考えを小気味よい音と一緒に弾き飛ばして。スープ用の鍋をかき混ぜながら淡々と作業を進めて程よく出来上がったところでテーブルへと運んだ。赤いライスに具材を取り込ませて、上からふわふわの卵でコーティングしたオムライスに、キャベツと人参、厚切りのベーコンを煮込んで作ったポトフを添えて。見栄えはなんとか様になっているそれ等を並べ終えれば、「…何度も言うようですが、味の保証は致せません。…一応、レシピに沿って作りましたので、極端な味の不備はないと思います。」そう事務的に言ってのけた。)
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