鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>鯨木さん
(屑のような連中にも丁寧に断りを入れて場を去る彼女に手を引かれながら、律儀だなと思う半面マニュアル的なものか、ああいった言い方しか知らないのだろうと。それでも今の自分に対する彼女の様子はどこか違って見えた。能面で精巧な機械人形な彼女の纏う空気がほんの僅かだが柔らかさをまとった気がしたのだ。が、しかし礼も兼ねた食事の誘いは何とも滑稽で、思わず笑い飛ばしそうになるのを堪えた自分を褒めて欲しい。礼も何も自分は彼女にぬいぐるみを渡すためにあの騒動を利用しただけで助けるつもりなどかけらもなかったのだから。既にぬいぐるみは彼女の手にあるしさっさと去っても良いのだが、なぜかもう少し、あと少しだけ彼女を観察したいと思って。「別に失態とは思わないですよ?罪歌が無用に人目に触れるのを避けられたんだから、鯨木さんの選択は間違ってなかったと思うな。……で、奢ってくれるんだっけ?じゃあ、お金はいいから鯨木さんが何か作ってくれません?既成品のレトルト食品でなければ何でもいいので。」特に食べることが好きな訳ではないが、塩分の多い薬品に毒された添加物の塊は口にしたくない。その為普段口にする食材にお金の出し惜しみはしない主義だ。彼女が何を作るかも気になるしそもそも料理は出来るのか。彼女の纏う空気の変化を気にしながら提案すれば、携帯を取り出して事務所にいる矢霧波江に今日は帰って良いと連絡を入れる。そうすることで料理の場が新宿の事務所であることを暗に示せば「とりあえず、必要になるものを買い揃えましょうか。」と新宿寄りにある無添加に拘る高級食材が揃っているスーパーへ向かった。)
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