鯨木かさね 2018-12-31 13:01:56 |
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>折原臨也様
(相手は言葉の意味を理解しているのだろうか、不本意だが彼氏がいると言ってのけた自分にこれ以上関わる意味が無いはずなのに。掴まれたその手はなかなか離されない、そろそろ彼戻ってくる周囲に迷惑の関わらないよう罪歌で黙らせよう、掴まれた手の平に罪歌の刃をあてるのとコインが飛んでくるのは丁度同じタイミングだった。いきなりの事で出た刃を直ぐに引っ込めたが、精確に投げられたそれは男の掌に直撃していて、手を抑え悶絶する彼の様子が明らかな証拠だった。突然離された腕に後方へと寄ろけるも、こんな芸当じみたことが出来るのはこの場にいる一人の人物しかいない、足軽に近づいていく彼はチンピラ達に笑みを浮かべながら持っていた人形をパスしてきた。押し付けられたぬいぐるみを両手で大事に抱き抱えると、頭に血が上ったのか顔を真っ赤に染めあげたその相手は彼を睨み上げ威嚇をする様に凄んでいる、向けられた当本人はそれを涼しい顔で受け流しているのでそれは意を持ってはいないのだが。やっと周りの視線に気づき始めた相手は彼と自分を筆頭に周囲から向けられたその目に、たじろいでいる。これ以上の問題を起こせば周りの誰かが警察を呼ぶかもしれない、頭の悪そうな彼等も其れぐらいの事など考えれば分かるみたいで。「────ここで問題を起こすのは、此方にとっても貴方達にとってもなんの得にもなりません。それに待っていた……彼が来ましたのでこれで失礼致します。」相手が来る前の、自分の言った発言の延長になるのだが彼氏を待っている。その彼が今来たので貴方達の相手をしている暇はない、そう意味を込めて人が集まり始めたこの場から逃げるように彼の腕を引っ張り外へと連れ出した。「…今回は私の失態です。話し掛けられた最初の段階で切っておけば、速やかにあの場を回避出来たのに。貴方に無駄な手間をかけさせてしまいました、申し訳ありません。」公道の真ん中だが、そんな事は気にせずに深々と頭を下げる。今日の自分は少し可笑しい、普段とは違う服装のせいか彼の前だけは…今日だけは罪歌を使わず普通の人間になってみたい。元々人間ではない自分が人間になるなど到底不可能なのは知っていた。だけどフリでもいいこの時だけの夢でもいいから、とそう思ってしまう。そんな考えがこの状況を生み出しているのだが、心に溜まるこの蟠りはどうすれば取れるのか。助けられた彼にお礼をする事で解決できればと、「よかったら、このあとの食事を私に奢らせて頂けないでしょうか?お礼を兼ねてのものなので遠慮なさらず、何か食べたいものはありますか?」首を傾げ、そう問いかけた。)
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