悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(彼に運ばれる気恥ずかしさに耐えつつ家に着けばベッドに横になり、漸く体から力を抜いてふぅと長めの息を吐き出した。彼を守るためとはいえ、あの使い魔には悪いことをしただろうかと考えが過るも彼にそうさせたのは他でもない自分のため口には出さずに。彼に心配させまいと枕元にいる彼の頬に手を伸ばし微笑もうとするも今になって痛みやら眠気やらが急激に襲ってきてぎこちないものになる。「助けられたのは私ですよ。貴方が居なかったらどうにも出来なかった。私ももっと貴方をちゃんと守れるようになりたい…。───あの石は、バーの店主が渡してくれたんです。貴方が悪魔であることも分かっていました。」頬から手を離してポケットからまだ小ぶりの石が何個か入っている布袋を取り出して彼に渡し。「過去に手にしたものだと聞きましたが、それ以上は…。──すみません、少し眠りますね。数日安静にしていれば良くなると思います。カルマさんもゆっくり休んでください。」睡魔と戦いながら何とか言葉を紡ぐも声は徐々に小さいものになっていき、ふわつく感覚の中、そう言えば預けていた服も取りに行かないといけないし、彼に血を与える約束もしていたなと思うも、いよいよ目を開けていられなくなれば重たくなっていく瞼を閉じてスゥと寝息を立て始め。そして暫くして「…カルマさん…、ずっと傍にいてください。」と芽生え始めた密かな願いを寝言で口にしていた。)
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