悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(応急処置だけのほぼ気力だけで足を引きずるようにしてたどり着いた路地裏、いつか見た使い魔に追い詰められる彼を見てやはり来て良かったと。唖然と此方を見る彼を安心させるために微笑むも危機的状況は変わらない。彼の声でこちらに気がついた使い魔が大鎌を彼に向けたまま此方を見て《──人間ごときが何しに来た?まさかこの悪魔を助けにきたとでも?》嘲笑う使い魔を怪我を感じさせない強い瞳で見返し肯定すれば《無力な人間に何が出来るんだ。》と馬鹿にしたように笑われて。それでも揺るがず意を決して口を開いて「──何も出来ません。ですが、せめて大切な人を一人で逝かせないようにします。なので、…彼を殺るなら私も一緒に殺してください。」何とか最後まで何でもないように言い切れば、カルマのほうを一切見ずに諦めも絶望もすべて受け入れたすっきりした微笑みを浮かべる。使い魔は突拍子もない発言に一瞬呆気に取られた顔をしたが、すぐに抑えきれない笑いを零し《何を言い出すかと思えば…。まあ、お前には興味ないが腹の足しにくらいはなるか。》「それは、此方の言い分を聞き入れるってことですね?…あの、最期に彼と話をさせてください。」此方の申し出に使い魔は始め渋るが、傷負いの人間と魔力のないカルマは敵ではないと判断したのか《さっさとしろ。》と了承しカルマから離れて。それを確認すると傷を庇いつつゆっくり彼の元へ歩み寄れば、普段より血色の悪い手で彼の頬に触れて「…無事で良かった。───少しだけ口を開けてください。」小さく微笑んだあと耳元に顔を寄せ囁くように言えば、袖に忍ばせていた小ぶりの黒い宝石を指先に移動させ、彼の口元に触れる仕草をするふりをして開いた口の中に押し入れる。僅かに口から覗く黒い光に気付けば使い魔に気付かれるよう彼の唇を自分のもので塞いで──、)
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