悪魔 2018-11-04 19:58:34 |
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(──嫉妬。彼に言われた言葉は始めよく分らなかったが先程感じたもやついた気持ちと照らし合わせると何となくしっくりきた。でもそれを認めるのはやや気恥ずかしく不敵な笑みを浮かべる彼に「からかわないでくださいよ。」と少し早口で言えば彼のかぶるツバ付きのニット帽をクイと下げて視界を奪うと自分の表情を見られないようにして。それでも彼からの手の甲への口付けを甘んじて受け入れ、手を振り払わないあたり自分は相当彼に絆され甘くなっていた。…──久々に来た服屋は目新しいものが揃っていていつも節制してばかりの妹にも何か買って行こうか考えていると、彼が店員に話しかけられ自分の背後に隠れてきた。先程の不敵な笑みを浮かべていた彼との違いにかわいいなと思いながら大丈夫、と言うようニット帽の上から頭を撫で「すみません、久々に街に来たので慣れていないんです。」と店員に弁解すると《お客様はスタイルも良いですし、きっと何でもお似合いになりますよ。》とカルマの容姿を褒めると頭を下げて離れていき、それを見送ったあと彼に向き直れば少々しおらしい姿に小さく笑って。「カルマさんってかわいいところありますよね。」と先ほどのお返しのつもりで彼の鼻先を指でつついてからかい。さてそろそろ此処にきた目的を果たそうと店内を見回しカルマに似合いそうな服を探しては、彼の手を引き、服を出しては彼の体に合わせて吟味しを何度か繰り返す。容姿端麗な彼には何でも似合ってしまうがどうせならしっかり選びたい。数十分悩んだ末にシンプルなシャツとズボンかデザインは複雑だが動きやすそうな黒を基調とした和服要素を取り入れた服の二着で迷い、後者を彼に差し出し「ちょっと試着してみてください。……着るの分かりそうですか?」試着室の前まで来て着替えの手伝いは必要だろうかと尋ねてみた。)
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