（　モノポリー ： 〆　）　

─くぁー…、眠ってぇ。
( 徹夜明けのせいか若干目の下にクマが出来ており、多少の寝癖も付けつつ欠伸零しながらリビングへ向かい。冷蔵庫から冷たい茶を取り出してグラスに注ぎ一口飲めば愛しの恋人の姿探して )
おーい、あーきらー。おはよー。

おはよう、優介。
( 洗濯物を干し終えベランダから戻れば、今しがた起きてきたのだろう相手へ挨拶を返し。ふと、目に留まったのは薄暗い色を帯びた彼の下瞼。ぱちりと瞬き、導かれるようにその目元へ手を伸ばすと指先でなぞるように触れ。気遣わしげに視線を向けて )
眠れなかったのか？ クマができているが…。

んー？…眠れなかったっていうか、お仕事してた。
( 相手の姿を視界に捉えると自然と笑顔になり、目元に触れる指先を愛おしげに見つめてはクマの出来た原因をぽつりと口にして。徹夜の原因は、少しばかり持ち帰ってきた仕事を終わらせる事に集中するあまり眠る時間を大幅に削ってしまっていた為で、また一つ欠伸してはへらりと頬緩め )

( 自由奔放という言葉を体現したような男だ、とつくづく感じていただけに、そんな相手から返された答えに少しばかり意表を突かれ。会話の途中にしてはやや不自然な間を置いてしまい。ハッとして短く謝罪の言葉を述べると、素直に心の内を明かして。失礼な事を言っている自覚は幾らかあるようで、徐々に視線は相手から逸れて行き )
───…。あぁ、いや、すまない。お前が真面目に仕事に取り組んでいる…というのが、少し意外で。

えー、そんなに俺って不真面目に見える？俺だって一応立派なオトナだからさ、お仕事はちゃーんとやるよ。
( 返ってきた反応が此方の行動に拍子抜けしたようなもので、くすくすと思わず笑い。確かに普段の自分を見ていれば勤勉とはほぼ無縁といってもいいかもしれない。それでも仕事はきちんとやっているんだ、と何故かドヤ顔を決めながら視線逸らす相手の頬に触れ顔を覗き込むようにして )
ま、でもそう見えちゃうのも仕方ないよね。謝ることないって。

う…、悪かった。
( 此方の発言を責めるどころか受け入れるような甘い対応に、安心するとともにチクチクと良心をつつかれ。彼の奔放な部分も、新たに知った真面目な部分も、自分にとっては等しく好ましいものであり、どうにかフォローできないかと暫し考えを巡らせて。やがて再び正面から相手を見据えるとキリリとした表情を作り )
たしか、世間ではそういうのを"ぎゃっぷもえ"と言うんだろう？ 俺も、お前の良い所をまたひとつ知れて嬉しかった。だから、ええと…、大丈夫だ。