カフェ「ダンデライオン」／〆

釣れないなぁ…
芽衣ちゃん、いつかは連絡先教えてね

(最初から警戒されていたし、撃沈覚悟のナンパであったため、相手の下の名前を聞けただけでも収穫だなと満足気に笑って、早速「芽衣ちゃん」と下の名前で呼んで携帯をしまうと、連絡先の入手はあっさりと諦める。相手が仕事教えてくださいとメモを取り出してくると、もう少し話していたかったけど仕方ないかと残念に思い、「まずは店の制服に着替えてもらうから」と言って店の更衣室まで案内しようと歩いていき)

そのいつかは絶対来ないですけどね。
（こういう人たちはしつこいということを友達から聞いていたので、まだ何か言われるのかと思っていたが案外あっさりと諦めてくれてほっと息をついて少し安心して。ハッキリ言うと可哀想な気がしたので、ボソリと否定の言葉を相手に返すとせっかく出したメモをしまって。更衣室を案内してくれるようなので相手の後ろをとぼとぼとついて行き。しかし、まだ相手のことを信用していないようで相手の背中を気づかれないように睨むように見て、鋼のように硬い警戒心はまだまだ強固で。）

ここが更衣室ね。ロッカーの中にシャツとエプロンがあるから、それに着替えておいてね。使ってるときはここの「使用中」の看板を向けてから使って。
一応言っておくけど、俺は上の自分の部屋で着替えちゃうから、ここに入ることはめったにないよ

(相手を店の奥の更衣室まで案内する。部屋にはロッカーがいくつかと、「制服のクリーニングはココに入れてね！」と書かれた籠が置いてある。簡単に更衣室の使い方を説明すると、まだ警戒しているであろう相手に一応断っておこうと思い、自分は上の階の自宅スペースで着替えていることを教えておいて、相変わらずニコニコ笑顔で話しかけてくる)

…安心しました。
（キョロキョロと更衣室内を見回して、納得したのか顎に手を当てうんうんと頷くと相手から一番聞きたかったことを言われて。ホッと胸を撫で下ろすと、力なくそう言い。「それじゃあ着替えるので出て行ってください。」とさっきまで優しく教えてくれた相手に対してキッパリと言い。相手の背中を嫌々ながら押して更衣室の外に出し、言われた通り『使用中』の看板を向けてドアを勢い良く閉めて。そのままドアに寄りかかりながらズルズルと腰を落として頭を抱え、バイト選びを間違えたのか？と少し後悔をして。）

うおッと……前途多難、かな？

(相手に心から安心したような反応をされて、こちらとしてはハハッと苦笑いするしかない。相手に無理やり押されて更衣室から追い出されてしまうと、徹底して警戒されてしまっていることに、最初こそ笑って気にしないようにしていたが、さすがに今後一緒に働いていく身として不安を覚える。おそらくあのお嬢様みたいな見た目の通り、自分みたいなチャラチャラしたナンパ男とは関わることのない生活を送っていたのだろう。信用されていないことがモロに伝わってくる。「どうしたもんかな…」と軽く頭を掻きながら店のフロアに向かい、一旦落ち着くための儀式として、コーヒー豆を取り出してきて、コーヒーを淹れようとして)

…これでいいのかな？
（悩んでいてもしょうがないと思い、支倉さんに言われた通りシャツとエプロンに着替えて。下はこのままスカートで大丈夫だろうかと思い、バイト用にズボンも持ってきたほうがいいかもしれないと新たに疑問点を発見して。くるりと鏡の前で回るとエプロンをつまんでそう呟いて。元着ていた服をハンガーにかけるのではなく、綺麗にたたむとロッカーに入れそそくさと更衣室を出て『使用中』の看板を取って、店内に移動しようとすると何やら物音がして。）

…作りすぎた
どうしようかな…

(お湯を沸かしながらコーヒー豆を機械にかけて挽いて、フィルターの中に挽いた豆を入れて、上からお湯を注ぐ簡単なドリップコーヒーを作ってしまう。いつも自分で仕入れている豆の香りを感じながら、コーヒーを一口飲んで、ホッと一息をつくと、少し多めに作り過ぎたコーヒーを余らせるのももったいないし、コーヒーゼリーとかにしても良いかもしれない、と一人でボーッと考え込んでいて)

コーヒーのいい匂い…。
（店内に入るととてもいい香りがして、その匂いがコーヒーだと分かるとオーナーが帰ってきたのかもしれないという淡い期待を抱いて。しかし、そこにいたのはやはりさっきのチャラチャラした男の人で。露骨にガッカリと肩を落とすもその美味しそうな匂いに抗えず、一瞬で頬を緩ませ目を輝かせて「あ、あの、コーヒーもらってもいいですか？」と聞いて。カウンター席に座り相手の手元にある機械やらカップやらを興味津々でまじまじと見て。）

えっ…あ、うん…
さっき適当に淹れたもので悪いけど…

(店の奥から制服に着替えた芽衣が出てくると、さっきまでのピリピリした雰囲気から一転して緩んだ表情になっていて、少しびっくりさせられる。カウンターの前に座ってコーヒーに釘付けになっている様子を見ていると、自分用に作るつもりでわりと雑に淹れてしまったことを後悔し始めて、なんだか初めてコーヒーを作った時みたいだと思い、緊張しながらも「どうぞ」と言って相手の前にコーヒーと砂糖とミルクを置いてあげて)

いただきます。
（コーヒーはブラックが1番！と思うタイプではないのに、何故だがこのコーヒーはブラックで飲んでみたいと思ってコクリと飲んでみて。口の中に広がるコーヒー特有の苦味と酸味が良い具合に混ざり合って、嫌な渋みがなく飲みやすくて。これが適当なのかと驚くほど美味しくて、チャランポランな見た目の相手をまじまじと見て。コーヒーの中に砂糖とミルクを入れ、くるくると混ぜると今度はコーヒーの香りを胸いっぱいに吸い込んでから飲んで。「美味しいです。…本気のコーヒーも飲んでみたいぐらい。」と微笑みながら言って。）

芽衣ちゃんコーヒー好きなんだね
初めて俺の前で笑ってくれた

(一口飲んだときの驚いたような表情と、コーヒーを美味しいと言ってくれたときの微笑みの表情を見て、「この子は本当にコーヒーが好きなんだ」と思うと、なんだか自分まで嬉しくなってくる。それに相手が初めて笑顔を見せてくれたことで、ちょっとだけ芽衣自身のことが知れた気がして、上記を言って茶化すといたずらっぽく笑って)

コーヒーは好きですけど…。
（支倉の声が聞こえるとハッとして顔を上げ目の前に相手の顔があると分かるとさっきとは打って変わって尻込みして。「それに、私が笑わないのは貴方をチャラいと思ったからで！こんなに美味しいコーヒーが作れると知り…み、見直しました。」言葉にすると照れくさかったのかコーヒーカップで顔を隠して。コーヒーを美味しくいれられる人に悪い人はいない、という勝手な考えが自分にはあるため、一気に支倉の好感度がグーンと上昇して。）

芽衣ちゃんって面白いね

(コーヒーカップで顔を隠して照れている相手を見ていると、笑いがこみ上げてきてついつい笑ってしまい、しかしそんな彼女が可愛らしくも思えてくる。相手をじっと見つめながら言葉を続けて「可愛いし、いい子そうだし、俺も久しぶりに気になってきたかもな〜」と意味深な表情を浮かべて芽衣を口説こうとしていて)

気になる…？
（面白いと言われ反論しようと思っていたが、それに続く言葉の方が気になったので面白いの方はスルーして。気になるというのは最初、バイトの才能を見つけられたのかと思っていたが、相手の表情を見るにそうではないことはわかっていて。そうなると、この人なら恋愛面でのことだろうと思い、見直したのにと残念に思いながら「あのですね、そういうのは本命の子に言ったほうがいいんですよ。」と冷たく言うと残ったコーヒーを飲みほして。）

あれ？俺なんか怒られてる？
あ、もしかして芽衣ちゃんもう既に彼氏とか好きな人とかいたりする？

(いつも女の子に言っているようなナンパな感じで言っても、芽衣に軽くあしらわれてしまい、というより本気に思われてないような反応をされてしまい、キョトンとした顔になる。遥人からしたら本気で言っていたつもりだったので、相手に全く伝わってないことに気付くと「困ったな…」と珍しく真面目な表情になり、顎に手をあてて悩み始める。少し考えて芽衣に彼氏など特定の相手がいるかどうか確認してなかったことに気がついて、もうコーヒーを飲み終えている芽衣に質問してきて)

か、彼氏はいたことないですし、好きな人もいません。
（何故苦手なタイプの人にこんなに素直に答えているんだろうと呆れながらもうコーヒーの入っていないカップを自分側に傾け、カップの底を覗いて。真面目な顔になった相手をまだ信じていないようで、どうせくだらないことでも考えているんだろう、と失礼なことを思って飲み終わったカップを相手に返し。「ご馳走様でした。コーヒーだけは美味しかったです。」と『だけは』を明らかに強調しながら嫌味っぽくツンケンと発言して。）

（/遅くなりました、すいません。）

いやいや、お粗末様でした

(自分みたいなタイプは苦手そうなのに、こちらからの質問にはちゃんと素直に答えてくれて、ますます良い子だなと思い、そんな彼女には今は特定の相手がいないと分かると、一応自分にもチャンスがあるのかもしれない、と前向きに考えるようになる。満足したように、にっこりと笑顔を浮かべると、質問攻めするのはやめてあげて、芽衣のコーヒーカップを受け取っては、流しでちゃっちゃと洗ってしまって、あっという間に片付けてしまう)

(／お疲れ様です。忙しいときは誰しもあると思うので、そんなときはゆっくりペースでも大丈夫ですよ！来てくれるだけありがたいです^ ^)

…お仕事教えてください。私もバイトの一人なので、早く仕事に慣れたいです。
（水の音が聞こえなくなるとそう言って礼儀正しくペコリと頭を下げて。さっきのコーヒーで距離は縮まったもののやはりまだ不安の眼差しで相手を見て。今度こそはとエプロンのポケットから自前のメモ帳とペンを取り出し、聞く体制は万全のようで。「それに、貴方一人だけじゃお仕事中に女の人を口説くかもしれませんしね！バイト兼…監視ですよ、監視。」とサラリと付け加えると自分の顔が見えないようにくるりと後ろを向いて。）

（/ありがとうございます。お優しい主様に感謝です！！）

えぇ〜信頼ないなあ…
仕事中に口説くなんてたまにしかしてないよ
まあ、今日は気分が良いからちゃんと仕事教えてあげるね

(まだ完全には信頼されていないようで、仕事中も女の子を口説きかねないと思われているようだが、"たまに"しかしてない、とさらに信用を落とすようなことを平然と語っている。しかし本当に機嫌が良いのか、今日はちゃんと仕事すると発言して、顔を背けている芽衣に近づくと、「たくさん覚えて帰ってね、可愛いバイトさん」とわざとからかうように耳打ちしてきて)



(／なんか私の方も遅くなってしまってすみません。
リアルで疲れて即寝てしまう日が続いてしまったもので…)

たまに…ですか？それは、しているってことでいいですよね？
（この人は本当に自分が心を許そうとしたらそういうマイナスなことを言う人だと今更ながら理解して。たまに、という部分に過激に反応を示すと子供を叱りつける母親のような口調でそう言って。耳打ちされるとバッと赤くなった両耳をふさぎ「ちょっと支倉さん！か、可愛いも本命の人に言う言葉ですよ！！」と言うと持っていたメモ帳でパシンと相手の頭を軽く叩き。これで、こりてくれれば…と考えながらも相手の様子をうかがって。）

（/いえいえ〜。リアルのほうが大事ですし、体を壊しては元も子もないですし大丈夫ですよ。）