坊っちゃま 2018-05-12 23:43:08 |
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うん、それはいい考えだ。確か倉庫に眠ってあるはずだから帰ったら出そうか。
( 彼女の提案に一つ返事で頷く。こうやって誰かとクリスマスの事について話せるのは久方ぶり。やりたい事が多過ぎてクリスマスには間に合わないんじゃないだろうか。まぁ日を跨いでも仕方がない。彼女と二人で過ごすクリスマスだからこそ、大事なのだ。一人で過ごしていた日々にはもうサヨナラをした。店を出た後、彼女の手が眼帯に触れてはどうしたんだい、と聞こうとした瞬間、近付く彼女の顔とそれに触れる唇。人目など最初から存在しないかの様な彼女の自然過ぎる行為にぽかん、と口を開ける。暫くして、漸く事の内容を理解すればかああ、と顔を真っ赤にする。恥ずかしそうに俯きながら周りをチラチラと確認をするが、運良く誰にも見られてはいない様子だ。良かった、と一息をつくが、いや、良くはない。こんな公共の場でなんて破廉恥な...だが、一番良くないのはそれ自体を違う場所にして欲しかったと求めてしまう自身の卑しさ。平常心、平常心、と首を横に振り気持ちを切り替えては、)
そ、そうだね。じゃあ、広場に向かおうか..、
( と隠しきれぬ羞恥心と共に頷くとスタスタと赤い顔を見られぬ様にと彼女の先を歩いて行く。そして、数分後、広場に辿り着けば言葉にならない程美しい装飾の光景に思わず見惚れてしまう。凄い...、ポツリと溢れる言葉。彼女の方へと振り返っては、「 見てくれヘンリエッタ!キラキラだ!凄い!」と、漸く年相応の子供らしい反応を見せる。彼女の手を引き、広場の真ん中に聳え立つ大きな木にされている装飾を指差しては、綺麗だ..、と息を吐く様に言葉を漏らした。暫くして光景に満足すると、)
よし、とっても満足したよ。それじゃあ、他の買い物を済まそうか。
( と、満面の笑みで伝えると寒さが増してきた風から逃げる様にそさくさと本やその他諸々を購入しては屋敷へと戻った。)
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