bless　〆

なんで軍なんかで働いてんの？
(勿論、軍医の彼を尊敬しているが医者の資格があれば民間で働いても十分稼ぐ事が出来るだろうに、わざわざこんな現場で働く理由が不思議で。細身の煙草に火をつけ白い煙をふっと吐き出して

……両親が軍医だったんで
(自分の浅はかな志望理由が露呈することに恥ずかしいような苦々しいようなよく分からない複雑な表情で眉をひそめて答える。両親のように傷ついた沢山の人々を救うことができると思っていた。だが、激しい戦場では自分の手の間から簡単に零れ落ちていく命。やるせなさから諦めが生まれ今の自分に至る。)
…アンタは、アンタはどうなんですか？
(自分ばかり話すのは嫌だと思い、聞き返せば)

医者の家？すごいね。
(知的水準が高く恵まれた家庭、そこで育つ少年の頃の彼を想像するのは容易い。ただ嫌味や皮肉などではなく自分とは違う環境を過ごした相手に純粋な興味を持ったからの台詞で。｢向いてる、って言われるし。｣ どうしてこの職業を選んだのかなんて忘れてしまったけれどどうせ、自分の事だからつまらない理由だったのだろうと

…アンタは当分くたばりそうもないですね
(志望理由を向いているから、とだけ言った相手に対し、皮肉なようなしかし己の願望のようなものを呟き。コーヒーを一気に飲み干すと、さて、と話題を仕切り直し)
…で何で暇潰すんでしたっけ
(相手が何をしたいのか聞けば)

案外がんがん首突っ込んでる方が無事に帰って来れるんだよ。
(じりじりと燃え尽きていく煙草の先を灰皿に押し付けて呟きながら、思い浮かべたのは今までの部隊の仲間達の顔。彼らと自分の違いは幸運か運命か、はたまたある種の呪いか、なんて考えてみたって答えは出ないけれど。

何でもいーよ、先生。
(頬杖をついたまま相手の青い瞳を眩しそうに覗き込めば

……うーん、ポーカーとかですかね？
(難しい問題を考えるようになんとか答えを捻り出したように答えれば。トランプくらいならどこかから貸してもらえるだろうと考えたものの、相手がどんな戦術を組んでくるか読み取れず勝つことができるのか分からず)