◆ 2018-04-03 00:00:02 |
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>Leone
……考えてみたら、閉じ込めるだけでもすっごく可哀想なのに、頭は可笑しいし料理も口も死ぬほど下手で、陰気な絵ばかり描くような暗い奴とずっと一緒なんて苦痛以外の何物でもない……もしかしたら結構俺の事好きなのかなとか、何だかんだ満更でもないのかもなんてだからッ! 調子に乗ったら駄目だって分かってるのにどうして俺はいつもいつもバカバカバカばかばかばか…~っ、死にたい……。
(――翌朝。今日もからりとした清々しい秋晴だというのに、朝のキッチンを早々に重苦しい暗雲で満たし、虚ろな瞳と遅々として進まぬ手で食器を洗う独り言の激しい不審な男が一人。あれから一睡もなくキャンバスと向き合えど、なおも執拗に纒わり付く鬱気はその大半を晴らし切れぬままだ。汚れを落とした皿を乾燥機へと立て掛ければ、ふと磨かれた銀のシンクに映り込む己の相も変わらぬ陰鬱な面貌に、自虐に限り異様に回る舌をようやく緩めて。「…早く、何とかしないと。あの子だけは絶対に絶対にこのまま逃がしたりなんて、…でも……」足の進まぬ夢の道程も未熟極まる人格も彼に並ぶため変わらなければと、先日抱いた筈の決心にすら容易く鈍りが生じるばかりか、そもそも彼を救う明確な手立ても未だこの手にない。それに加え――昨日の異様な飢餓感は未だ胸底に深く渦巻き止むことなく、今顔を合わせば今度は何を仕出かすか。しかし、彼宛ての届け物も未だ自室に高く積まれている以上、いつまでもこうしている訳には……。終点の見えぬ思考の渦に呑まれつつ、シンクから離れた身は一先ず自室に運ぶ飲料を求めて冷蔵庫へ歩みを進ませ。何の気なしに開かれた扉の先、寝不足による気怠げな瞳を開かせたのは洒落たデザートらしき代物と、己の名のみを記したメッセージカード。…あの子の、字だ。明らかに責は自らにあるというのに、想いを込め用意されただろう気遣いの品に込み上げる感情の波が瞬く間に混迷の思考を攫い、思わず口を突き飛び出したのは切実なまでの責任転嫁。思わず少しばかり複雑な色を瞳に宿して器を手に取れば、引き出しから取り出したフォークと共に室内の椅子へそのまま着座し、甘くも仄かな苦味を伴うそれを時間をかけて味わい始め。…当然共用の場たる此処へ長く居座ればそれだけ彼と遭遇する可能性も上がる訳だが、新たな議題に思い悩む思考はさして及ばずに。)
…っ、そ……そういう可愛い事ばっかりするからぁ…! うぅ……、…おいしい。――やっぱり閉じ込めて俺だけのものにしたいなぁ……だめかなぁ…。
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