◆ 2018-04-03 00:00:02 |
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>Noah
(例え己を否定しても愛おしい色を取り戻せず擦れ違いが深まるならと広がる連鎖へ触れず、あの妖艶な熱情に感化された後だと何処か嬉しくも少しだけ心寂しく思えてしまうも、今は慌ただしくも救われる振る舞いにクスリと笑みを零し。されるがまま腕を差し出しながら懸命な姿勢をまた盗み見ては、病身の特権を活かしてか何時にも増して自然と触れる肌に、押し殺しても荒い鼓動が奏でる浮ついた身に一人郎色に満たされて。病魔に抗うこともせずベッドへと横たえれば気怠い身体を沈め、息苦しく籠った熱気を深く吐きつつ彼が背を向けたのを黙視すれば、ふと邪険に放ったままの腰袋を見遣り。…仮面の、お前だったら何て言った。彼を苦難に苛ませ曇らせては意地悪く縋るこの状況を一転し、澄ました顔を繕いはぐらかして観客と笑う虚像が目に浮かぶなら、舞台に立つのはやっぱり呪いの方が――。素朴な疑問を吹っ掛けたところで沈黙を貫くに変わりなく、黒兎同様に自問自答を繰り返すだけの懺悔にしかならず、惨めな面を枕へと押し当て己の滑稽さに失笑し。離れた途端に悪態をつくとは随分と我儘で脆くなったもので、せめて誤解を解きに行く前に誓った契を順守する程の役目は果たせと外れた螺子の回路を諭し、テーブルにトレーを置く音を合図に憂色を覆い隠したまま向き直る。湯気の立つ器を受け取るべく鉛の身体を起こそうとした矢先、掬った中身へと息を吹きかける様を惚けたまま眺めていれば、お決まりの言動に目を丸くするもはにかみながら口許を綻ばせ。差し向けられた好意に甘えて口を開き掛けるも、こうもベッドの上で彼と対面するとちらつく甘い熱情に耐え兼ねて、熱く朱に染まる顔を伏せながらスプーンを持った手に己の手の平を重ね、それごと引き寄せながらスープを口にし。彼の何の迷いもなく真っ直ぐとした面持ちを前に、もはや病状か羞恥からかそれらが混在してかドキドキと高鳴りが治まらず、あまりの面映ゆさに視線を伏せた顔を上げられず碌に噛まずに流し込み。戯言を交えた礼を述べては、するりと入る優しい味を求め、空のスプーンを銜えてから催促するように口を開けて見せて。)
…っ、……おいしい。これで、レトルトなんだ。…欲を言えば、ノアの手料理も食べてみたかった、なんて。…いつも、ありがと。――、ん……。
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