赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>侯爵夫人
それじゃあ、道案内をお願いしてもいいかな。彼女が治める国を、もう少し見てみたい。(女王との謁見を済ませ、半ば夢見心地で部屋を出る。年の頃は自分とそう変わらないだろうに、いとおしげに優しく紡がれる言葉と温かな日溜まりのように柔らかく微笑む彼女の表情は今は亡き母の面影をなぞるようで。王と呼ぶからにはどんな豪傑かと身構えたが、扉の向こうに佇む女性は、美しく、凛々しい人だった。女性とはかくあるべきなのかもしれない。部屋を出て、真っ先に視界に捉えたのは律儀に己を待ってくれていたらしい相手の姿で、口許の笑みを深めながら、これまた馴染みのない「ただいま」の単語を少しばかり照れ臭そうに。与えられた選択肢に瞬きを一度、一拍の間も置かずに返答すると、薔薇園で偶然邂逅するに至った男性に向けて、何処にでも連れていってくれとばかりに片手の掌を無防備に差し出して)───それに、せっかく会えたのにここでさよならなんて勿体ないからさ。
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