赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>侯爵夫人
……ジーザス。(腕を捕まれても抵抗を見せなかったのは彼から殺意や敵意を始めとする自分を害そうとするような明確な敵意を感じなかったから。彼のペースに足並みを合わせ、敷地を歩む内に病院の中庭がこんなに広大な筈がないと目を背けていた現実に否応なしに気付かされる。卸したばかりの白いシャツの下、背筋をひやりと伝ったのは先の読めぬ未来への緊張か興奮か。先程の己の問答に少しばかりお冠らしい彼に些か強引に手を引かれるままに生垣の間を一つ、二つと曲がり、辿り着いた一本道。頭上に広がる晴れやかな青空よりも、深く濃い青色を有した瞳に飛び込んだのは、立派な城であり、呆然と吐息を零して。ようやく自分が居る場所が通い慣れた古臭い精神病院ではないと認識するも、彼の話を全て鵜呑みにすることは出来ず。しかしながら、この場において、現状を打破するには、相手の存在が必要不可欠だ。甘い芳香が辺りを漂う、薔薇の園の中、勝ち誇った笑みを浮かべる男性に眉尻を下げて)──非礼は詫びよう。だが、オレはさっきまで本当に病院に居たんだ。煙草を吸おうと、ちょっと中庭に出ようとしただけで…。ええっと、つまり、ここは、一体?
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