__ c o m p l e x l y .  

 __ c o m p l e x l y .  

   2017-01-04 21:35:31 
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 _____ 愛してるわ 。

 _____ 報われなくても良いの 。

 _____ 貴方と共に居られるだけで 。

 _____ クズにはそれが 、 とても

 _____ お似合いでしょう ?






 〇 小説 、 也 、 入室禁止

 〇 某自トピ設定 使用







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  • No.4 by    2017-01-15 15:46:16 








夢を見ている。
もうずっと、同じ夢。

終わらないように、
薄く薄く引き伸ばして
ぺらぺらの、中身のない夢を。

目覚めることのないように。




 [  空白  ]



 平均点より下のテストは、その半分以上が赤いバツ印で埋められていた。名前の横に書かれた45点、自分の "頑張り" の証。
 比較的若くて美人で人気の先生は返却時に生徒1人1人にメッセージを送っているらしく、特に男子は頬が緩みきっている人ばかりだった。

「 花岡さん、もう少し頑張れば良い点はとれるからね、ほら、お兄さんに教えてもらったらどうかしら 」

 内容の割に恐ろしい程に嫌味を感じない言い方に寧ろ感心しながら適当に頷いて、ガタガタ揺れる不良品のイスにつく。案の定イスの足が傾いて危うく舌打ちしそうになったのを必死で堪え、頭の悪い女子がそれを見て笑った声も当たり前のように聞き流し、いつも通りの花岡穣の顔を貼り付けた。

 どうでも良かった。

 周りの女子が必死で追いかける流行も人気のドラマもアイドルも、男子が話している漫画の内容、好きな人の話も。可愛いパンケーキ、化物みたいに顔が変わるプリクラ、有名なブランドが手がけるワンピース。そんなのも全て、早く消えてしまえとまで思うほどに。
 目の前のテストだって、さっさと破り捨ててやりたいと思うほどに。

 「 ……馬鹿みたい 」

 ふ、と息を漏らしてテストを握ると、ぺらぺらの紙はいとも簡単に皺だらけになった。中身のない数字が並んだだけの紙は学生にとって最大の敵。

 それが、こんなに簡単だなんて。

 ずっと昔から、同じことの繰り返しだった。覚えて、書いて、少し考えて、また書いて、その分点が貰えて、褒めてもらえて、通知表に同じ数字がつく。通知表の全ての欄に同じ数字がついた時は親に大喜びされたし、先生にもとても褒められた。

 でも、それだけ。
 どれだけ褒められても結局ただの数字に過ぎないそれは、花岡穣にとっては息をするよりも楽にとることが出来るものだった。それがとても、苦痛だった。わざと宿題を忘れても授業を抜け出して遊んでも、それまで当たり前のようにとってきた数字は当たり前のように欄の中に存在している。
 出来るならこの脳みそを取り出して踏みにじってやりたいと思った。自分の言う通りにならない数字が嫌いでたまらなかった。

 みのりちゃんみのりちゃん、と母親から呼ばれる名前が嫌いになった。名前の横に書かれた3桁の数字を見るだけで頭痛がするようになった。それから2桁の数字を取るために必死になった。それが、3桁の数字をとるよりも難しかったのは、花岡穣という人物の大きな欠陥。役立たずの脳みそは常に頭蓋骨を揺らして頭痛を起こした。
 頭の悪い親は同じ間違いを繰り返すと悲しそうな顔をしてテストを捨てた。計算の間違いは許してくれなかった。欄の中の数字はずっと変わらない。

 ほら、結局同じでしょ?
 頑張るだけ無駄だって。

 幾度となく脳内に響いた声に頭蓋骨を揺さぶられて、揺さぶられて、ぎしりと鳴いて、それでも、穣はやめられなかった。

 だって、だってね、聞いて、お願い、
 

 彼は、この数字に誰よりも執着していたから。私じゃだめだから。


 自分がクラスの誰よりも、学年のだれよりも優れた頭脳を持つことは知っていた。でも穣は、知らなかった。ただ1つだけ、何も知らなかった。穣が花岡穣である故に、知る術を持たなかった。

 自分よりも劣る人物からあいしてもらえる方法を。あいされる方法を。







  • No.5 by    2017-01-15 18:16:06 








自分を犠牲にするなんて、
人聞きの良いことだわ。

貴方は、本当の犠牲者は。




 [  濡羽  ]



 中学の勉強は小学校より一段と難しくなった。そんなフリをしたら親は納得したように、驚くほど何も言わなくなった。
 高校では更に難しくなったような素振りを見せると、諦めたらしく今度は兄を褒めるようになった。

 「 由鉉くんは凄いわねぇ 、 みのりちゃんも見習わないと駄目よ 」

 90点の紙を手に兄を褒める母親の顔は気持ち悪く歪んで見える。でも気持ち悪いなんて言えない。母親の中の、花岡穣は、

 「 ___ いいなあ、お兄ちゃん 」

 今度勉強教えてよ。
 私も90点、とりたいなあ。



 今更思い出した高校で1番初めのテストのこと、そんな些細なことさえ忘れられていないなんてつくづく役立たずな脳みそに嫌気がさす。
 ゆらゆらと揺れる視界にうつる45は、出来れば今すぐ消してやりたかった。


 正しくはないけれど、あくまでも解き方のパターンとしては考えられるであろう方法で、確実に、正確に、丁寧に、間違った答えを導き出すのが、穣のテストで重要なこと。
 そのためには正確な答えを出す倍の時間と思考力が必要で、パターンを考えて間違った解を出すという意味の無いことをひたすら行い続ける。
 そして確実に平均点より少し下の点数を並べること。

 それが、穣が穣として生きていくために必要な事で、あいされるために、必要なことだと思っていた。

 あいされたいと思ったのは小学5年生の夏、方法を思いついたのは小学6年生の春、そしてそれを実行するようになったのは中学1年生の秋。
 出来ることを出来ないと言うようになった。分かる問題をわざと間違えるようになった。穣として、愛されるための犠牲として嘘を積み重ねていった。
 少しでも構ってもらえるように、必死で花岡穣を演じ続けた。毎日1人でお城を築き上げている。今も、昔も。
 踏みにじられても壊れない、とても頑丈で丈夫な真っ黒いお城。

 中身のない、嘘の詰まったお城。






 お城を1度、簡単に壊された事があった。
 それは、中学3年の雪の降った日。

 あにを、兄だと思わなくなった日。







  • No.6 by    2017-01-15 22:27:55 







そろそろ正直になろうよ。
ほら、見つけられそうじゃない。

隠したって無駄だって!

きゃははははは、ばあか、

みーつけた。




 [  青渴  ]



 二卵性双生児、しかも男女となると、そっくりそのまま同じ顔で生まれる事は無い。良い例だ。
 両親のどちらからとったとも思えない垂れた大きな目は、見つめられる度に心臓を掴んだ。赤く色付いた唇は、緩やかに弧を描いた。


 花岡由鉉は、真面目な子だった。

 叱られることはしなかったし、しようとも思わない。率先してリーダーに名乗り出る、そんな子供だった。
 勉強もそれなりに出来た。授業を聞いて、家でノートを見返せば簡単に頭に入った。テストの点も上々、クラスではトップ。挙手回数も多く意欲的で大変良い生徒。まさに優等生。

 由鉉くんは凄いね、頭良いね、なんてもう何千回言われてきた言葉は相変わらず嬉しいしけれど、それとは裏腹に花岡由鉉の名前の横に3桁の数字はほとんど存在しない。
 予習復習も欠かさず、宿題も丁寧に何度も解き直し、更にはテキストを買って貰って自主的に学習した。それでも、見えない糸に引っかかって転んで、1等にはなれなかった。
 通知表にも、ぽつぽつと違う数字が並んでいた。
 それを息をするように、簡単に、奪っていったのは。

 「 穣はいいよね、頭が良くて 」

 そう言ったのは小学5年生の夏、1学期がちょうど終わった日。ジリジリと蝉が鳴くより小さな声で言ったそれは、穣の耳に溶け込んでいる。きっと今も。
 自分はこんなにも努力しているのに、大した努力もしないで当然の様に数字を並べる穣が憎い、と。

 その日は、頭痛で眠れなかった。


 中学生の秋、初めて穣より上の点数をとった2学期の期末テストで、由鉉は微かな違和感を感じた。ほんの些細な、僅かな糸の解れのような。
 花岡穣という人物がどういう人物か誰よりも知っていたからか、由鉉が穣を特別視していたからか理由は定かでは無いが、その時たしかに由鉉は、花岡穣は既に、花岡穣では無いのだ、と気がつく。
 由鉉が4文字の重み、圧力を、改めて叩きつけられた瞬間。


 花岡由鉉は賢い子だった。

 その感情にはとうの昔に気が付いていた。これに名前をつけてしまえば全て駄目になると分かっていたから、自分を騙して引き出しに入れて鍵をして隠しながら、薄まるようにと時間を引き伸ばしていた。
 その引き出しの鍵を手渡したのは、濃くなるように積み重ねてきたのは、花岡穣という人物だ。

 ぺらぺらの感情に名前なんてあるのか、と鼻で笑ってやりたかったけれど、残酷なまでにその感情は濃くなっていくだけで、自分を騙すのさえ難しくなっている。

 だから由鉉は諦めることにした。
 鍵を受け取って引き出しをこじあけて、ドロドロに煮詰まった感情を丁寧に掬いあげる。


 ばかだなあ、ほんとうに。それだからみのりにかてないんだよ。


 「 ……わかってるよ、そんなの 」

 それを愛だと名付けたのは、中学3年生の秋。






  • No.7 by    2017-01-15 22:48:29 








「 みのり 」

「 なあに、ゆづるくん 」

「 大好きだよ 」

「 …ふふ、わたしも大好き! 」

「 ずっと一緒にいよう 」

「 うん、ずっと、 」



 それは残酷なまでに、美しい夢の話。




 ( ハッピーエンドを迎えるまで、貴方が全てを知るまでは、本当のわたしは眠り続けるの。幸せな夢を見るの。 )






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