風人 2016-11-02 05:15:58 |
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第七章 未来
地球連邦は、大きな期待と希望を込めて、人類の未来のため、以下の項目を準備することとする。
第十五条
一、地球圏外の生物学的な緊急事態に備え、地球連邦は研究と準備を拡充するものである。
ニ、将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させることとする。
「将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させる……」
棒読みしたオードリーの声音が、頭の中で爆発し、心臓をひと跳ねさせた。碑文に吸い寄せられ離れられなくなったオードリーを背に、バナージは瞬きを忘れてサイアムを凝視した。これが、こんなものが、こんなことで。定まらない思考が頭の中を跳ね回る間に、混乱を引き受けたサイアムの瞳が静かに揺れ、枕に埋まって動かない顔が遠い星々を見上げた。
「これが『ラプラスの箱』……。我々を百年ものあいだ縛ってきた呪いの正体だ」
長い時に蓄積された吐息が、氷室の空気を震わせて心身に突き刺さった。時間そのものが喋っていると思える声ん耳に、バナージは虚空に忽然と浮かぶ石碑に視線を戻した。
「……そして祈りでもある」
バナージ・リンクス、オードリー・バーン(ミネバ)、サイアム・ビスト/機動戦士ガンダムUC/福井晴敏
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