匿名ゆき 2014-11-23 17:15:10 |
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昔の話
ここ最近、ずっと高いところから飛び降りることばかり考えています
自殺願望なのかは、よく分かりません
別に、人生に疲れたとか、どうしようもなくなったというわけではありません
強いて言えば、世界から色が無くなっていく感覚に近いのかもしれません
見るもの全て、当初あったはずの鮮やかさが次第に失われ、気が付くとモノクロになっていました
それは物体に収まらず、言葉もそうでした
つまり、他人の言葉に色を感じられず、自分の言葉も最早自分の言葉ではないような感覚があるのです
誰のことも、自分のことすら信じられなくなってしまいました
不思議と不安は感じません、ただ、楽しくないのです
私には享楽主義的なところがあったのでしょう
思えばずっと人生を楽しくする工夫についてばかり考えていたような気がします、一人で暮らしていた頃から、ずっと
楽しかった時間を思いだそうと思う
一番楽しかったのは、大学の初年度から二年の秋にかけてのことだった
つまり、初めて好きになった人と大学で交流していた期間
入学者たちが集う電子の海でのこと、文字での交流をしていた頃、彼女はその時から回りを引き付けていた
空間の中心人物のようで、とても自分なんかが関われるような人ではないと思っていた
入学式前の身体測定の日、学科のみんなで集まりませんか?と全体に声をかけた日のこと、水玉の傘を持った彼女は上級生に囲まれていて、気が付いたら遠くの方にいってしまっていた
この日は他に、ゲーム仲間たちとの交流があって、今でも繋がっているのはこの日に出会った人たちばかりだ
人との関わり方が全く分からなくて、数学の話をしてしまったとき、相手が困惑してしまったのを見て、大学は別に好奇心や関心で会話を広げていく空間ではなく、もっと世俗的な会話で足並みを揃えていく空間なのだと悟った
昔よりは「友達」を作るのは上手になったと思う、自分を表に出さず、空間の調和を掴む技術のことを指すのであれば
再び、学科の話
情報だというのに、蓋を開けてみたら数学ばっかりで最初はみんな嫌な顔をしていた
当時の先生たちは、白髪のおじいちゃん先生、空手とハッキングの話ばかりで数学の話をしない先生、板書が異様に速い先生…とてもなげやりな感じで、内容を把握するので精一杯だった
それでもとても楽しかった、魔法のように自由自在に式を操っていく彼らの話は、ここではない何処かへ連れていってくれるような陶酔をもたらしてくれた
同時に、情報ではなく数学の方が肌に合うのだとも感じた
四色問題や情報理論には入学前から関心があったが、入学後は暗号理論に激しい興味を抱き、整数や代数に触れるようになった
これらはそれ単体では、図や現実世界の概念に落とし込むことが難しく、理解するのにかなり苦戦したと思う
いまでも、多分あんまり分かっちゃいない
けれども、それらが時には人を守り人を殺す暗号理論へ応用されると聞かされると、私には美しい刀の放つ妖艶な光に魅せられた武士のような心持ちでそれらに手を伸ばしてしまうのでした
ちょうどその頃、初めて彼女と二人で数学の話をした
数秒で終わるからちょっと付き合ってよと声をかけ、mod13の乗法演算表のなかから適当に一つ数を選んでもらうようにお願いした
彼女は7を選んだので、足し合わせて13になるように6を選び、これらの浮かび上がるところに○をつけていった
その表の上には一つの模様が浮かび上がった、これを「だからなんなの」と言って終わらせることも簡単だと思うけれど、私は今も昔もこういう一見無意味な行いのなかに楽しさを見出だしていたのだと思う
この日はとても楽しかった
さて、一年前期の中盤くらいに入ると、数学科ですら頭を抱えさせると噂のε-δ論法、つまり解析学の初等的内容、実数集合上に位相構造が入っていることを確認するための授業があった
これは本当にみんな苦戦していたらしかったので、分からない人を集めて勉強会を開いてみたりした
分かりやすかった!との声もあったけれど、称賛よりもそこに潜む数学的な美や概念を知ってもらえたことに喜びを感じていたと思う
この頃から勉強会の文化が始まったと思う
授業後に残って、黒板を占有して…だらだらといたずら書きをしながら勉強をするのは楽しかった
ある日のこと、あれは線形代数の表現行列の話をしていた頃だったろうか
あの日もいっぱい黒板を汚した
ハリネズミの絵やチルノの絵、カービィの絵をぱぱっと描いてくれて、とても楽しかった
パソコンを持ってきていたからゼロツー戦の音楽を流したりしながら、私も授業とは無関係なピックの定理や双子素数、四つ子素数について話したりしていた
こんな時間がずっと続いてくれたらいいなと思っていた
試験直前は、みんなで通話しながら対策したりもしたっけな
ときどきピアノの旋律が聴こえてきたりして、何時間でも続けられた
誕生日には、初めて人に贈り物をした
何て言いながら渡せば良いか分からなかったし、もう色んな所でどうでもいい人間から要らないものをもらっても困るだけだという話を見てきたから、不快に思われないか心配になりながら、グループも違うのに別の物理学実験をしている彼女の実験室に入ってプレゼントをした
恥ずかしさで頭がいっぱいで、どんな会話をしたかもあんまり覚えていない、嬉しそうにしてくれた顔だけが残っている
夏休みには勉強会の仲間たちと一緒にカラオケに行った日、途中で抜け出して心配をかけてしまったのは申し訳なかったと思う
楽しかったけれど、楽しければ楽しいほど数学のことを考えてしまったりもしていた
その日は大学のオープンキャンパスと被っていたから、話を聞いたり催し物で遊んだりした
その時話した先生は、無理数と有理数はどちらの方が多いでしょう?という質問をしてきた
濃度的なことをいえば、無理数の方が多い、どちらも稠密なんだけどね
『嘘ついたら非可算無限本の針の~ますっ♪』
なんてね
夏休みが終わって数ヵ月の間はあんまり会話の機会がなかったけれど、その理由はここでは書かない
私の誕生日に、彼女が贈り物をくれたときは本当に嬉しかった
寒いときには役に立つよ、と話してくれて、何だろう…マフラーかな、とか色々考えていたけれど、中身はマグカップだった
これは今でも使っているけれども、ウイスキーを飲むときばっかりだね
それからはまたしばらく、勉強会を開けるようになった
線形代数は基底変換とか、Gram?Schmidtの直交化法とか…解析は重積分なんかやっていたかな
物理学2は大変だったね、電磁気…レポートも忙しいし、学科で一番の落単科目だったけど、これもみんなで乗り越えた
そんなこんなで濃い一年が終わった
二年目のことは、あんまり書くつもりはないけれど、少しだけ
二年目は確率論や統計、離散数学、情報理論と、いよいよ情報系の数学、という感じになってきた
計算機系の科目もjavaやocalmなんかを扱って、Javaでジャバジャバ!wとか言ってたなあ
一緒に図書館で同じ確率論の本(組合せ論確率論から公理論的確率論への誘導が丁寧で、とてもよい本)を借りて、勉強したり
昔の感情を思い出していると、少しだけ色が戻ってくる感じがするよ
もう5000兆回くらい繰り返し言っているけれど、とても楽しかったのです
弾いてくれたThe Least 100secを忘れたことはなかった
現在を知らなければ、幻影を視ていると言われても仕方ないのかも知れないが、私は貴女のことを格好いい人間だと、今も昔も思い続けています
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